北から南まで163キロ。岩手の海岸線が1本のレールで結ばれる。JR東日本から移管される山田線の宮古-釜石間(55.4キロ)が南、北リアス線をつなぎ、第三セクター三陸鉄道(宮古市)のリアス線が23日開業する。東日本大震災から8年。三陸の浜に復興の笛が響く。 赤、青、白のトリコロールカラーに彩られた車両が行く。旧山田線の宮古-釜石間では2月以降、三鉄の訓練運転が続いていた。 「よくぞ、ここまで」。宮古市津軽石地区にある自治会、本町協力会の会長若狭斌(たけし)さん(80)が、快走する訓練車両をまぶしそうに見詰めた。 高校時代は列車通学。就職した後も鉄路は生活の一部だった。暮らしの中にあって当たり前の旧山田線はあの日、押し寄せた津波で8.5キロ分のレールが流失し、列車が横倒しになった。 南、北リアス線は2014年春に全線開通を果たしたが、旧山田線区間の復旧は遅々として進まなかった。 「カンカン鳴り