日本キャリアデザイン学会のメルマガにある「キャリア辞典」(執筆者は荻野勝彦氏)において、「ワーク・ライフ・バランス」に関する連載が始まった。この言葉、2005年頃から急に使われるようになった言葉のようで、当初は少子化との関係で論じられることが多かったが、最近では労働法制を巡る議論が高まる中で「個人の生活全般の改善、充実といった観点からの使われ方も増えている」とのことである。ここでは、ワーク・ライフ・バランスの鍵を正規雇用者についての労働時間の短縮や労働時間・日数の多様化を図ることと考え、それが日本の雇用システムに大きな変化を生じさせるものであるとみなした上で、その意義を考えてみることとする。 まず、少子化との関係から考えてみたい。合計特殊出生率の要因を①有配偶者の数と②有配偶者が産む子供の数の2つに分解すると、前者が近年の出生率低下の主因となっており、少子化問題の解決策としては、婚姻の数を