先日、菅首相が浜岡原発を停止する決定を発表した。 その決定の根拠は、政府の地震調査委員会が発表している将来の地震確率が30年以内に87%と高いことだという。そして、他の原発は止めないし建設中のものの工事も続けることが政府から引き続いて発表された。 地震学者である私から見ると、これは決定の責任を地震学に負わせた責任逃れにしか見えない。私がかねてから主張しているように、地震学は「地震予知」にも「将来の地震確率」にも「活断層調査」にも解決には遠い問題があるレベルでしかないのである。 今回の東北地方太平洋沖地震で、またも地震予知のむつかしさが明らかになった。もっとも地震予知がしやすいはずの海溝型地震で、しかもあんな巨大地震でも、どんな前兆も観測できなかったのである。 世界でも唯一の地震立法、大規模地震対策特別措置法(大震法)は1978年に施行された。この法律の前提として政府が東海地震の予知をするこ