【日本人とこころ】 「平和論に対する疑問」や国語改革批判など、戦後史に残る数々の論争の当事者で、鋭利な筆鋒で知られる昭和の批評家、福田恆存(つねあり)。昭和20年代から晩年まで、約半世紀にわたって福田に師事した早稲田大名誉教授、松原正(80)には、師と激しく議論を戦わせた思い出がある。関連記事スキー距離 福田が五輪代表確実に さ…福田沙紀、ウルトラセブンに大興奮で愛…記事本文の続き 昭和38年冬、福田はフォード財団などの招きでイギリス、アメリカに約1カ月間滞在し、松原も同行した。その折、ニューヨークのホテルの一室でのことだ。話題は、日本文化が絶対的な神の存在を欠いていることについてだった。 「先生、日本人はよく『絶対に』という言葉を気やすく使うが、私たちには絶対というものはないんですよ、と言ったら、『そんなことはないよ』ということで、激論になった」(松原) そのとき、福田はこう反論したとい