1989年に大量の人骨が見つかった東京都新宿区戸山の旧陸軍軍医学校跡地で、厚生労働省は近く、初めての発掘調査に着手する。この場所を巡っては軍医学校に勤めていた元看護師が「終戦後、進駐軍に見つからないように人体標本が埋められた」と証言している。発掘調査を求めてきた市民団体によると、戦時中に中国で細菌や毒物の生体実験をしたとされる関東軍防疫給水部(七三一部隊)の日本における研究拠点があった場所にあたるという。 発掘調査のきっかけは、戦時中に軍医学校に召集されて勤務していた女性が2006年、「終戦後に軍医学校付近の少なくとも3カ所で解剖した遺体の標本が埋められた」と初めて具体的に証言したこと。それを受け、当時の川崎二郎厚労相が調査の実施を明言した。 女性が証言した場所は、都立戸山公園に隣接する国有地(1)、その約250メートル東に位置し、89年に100体分以上とみられる人骨が掘り出された場所