日本ではいま、言論の自由が奪われているのではないか……そんな危機感を抱いている日本在住の中国人作家がいます。彼女が中国についてなにか発言しようとすると、必ず「反中」か「親中」で括られてしまう。ただ、中国について客観的な意見を述べたいだけなのに――。 一方、中国についての取材を続けるノンフィクションライターの安田峰俊さんも、過度に嫌中的な内容の本や記事を書いてほしいという依頼をしばしば受け、辟易することがある、と言います。 日本では「嫌中」「親中」という視点でしか、中国を語れなくなってしまったのか。二人の専門家の疑問と苦悩。 中国公安部に狙われて 安田 2016年は英国のEU離脱とトランプ旋風で、中国の動きがやや隠れてしまった感があります。しかし、7月に南シナ海問題をめぐる国際仲裁裁判で中国が敗北、相変わらず続く尖閣周辺海域への中国船の侵入など、不穏な動きは継続しています。さらに中国国内では