医療品メーカー・スズラン(本社・名古屋市北区)は今春、社屋を改修し、不織布マスクの製造を始めた。2000年以降、コストの安い中国・上海の子会社工場で生産し、日本へ出荷してきたが、20年ぶりに国産に回帰した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、昨年2月以降、全国でマスクが不足したためだ。 【データで見る2021衆院選】 「ビジネスでは無意味」でも国産にこだわり 当時、同社は上海工場をフル稼働させたが、国家を挙げてマスク確保に動いた中国政府との優先契約があり、日本に出荷できる数には限りがあった。機械を中国から取り寄せるなど設備投資は約5000万円。新たに従業員も雇った。利益はほとんど出ない上、現在、国内のマスク不足は解消している。 國枝靖弘社長(60)は「ビジネスで考えれば無意味なこと」と苦笑するが、それでも国内で製造ラインを確保する意味は大きい。國枝さんは「感染対策用品は欠品が許されない。次