大手ITベンダーの経営トップがあきれたように話していたのをよく覚えている。「私の若い頃には『バカヨケ』ロジックの重要性を徹底的にたたき込まれたものだ。それなのに、なぜあのシステムには基本的なバカヨケロジックが備わっていなかったのか」。 2005年に発生した「ジェイコム株大量誤発注事件」で意見を求めた際の発言だから、もう随分前の話だ。この事件では、みずほ証券の担当者が「61万円1株売り」とすべき注文を、誤って「1円61万株売り」とシステムに入力し注文を出してしまった。みずほ証券は大損害を被り、東京証券取引所と損害賠償請求訴訟で長く争うことになった。 ITベンダーの経営トップが指摘したのは、こうした重大な人為的ミスを防ぐ機能がシステムになかったのかという点だ。「バカヨケ」とは言葉は悪いが、英語の「フールプルーフ(foolproof)」に対応しており、1960年代からあった概念だ。「人は誰もがバ
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