渡瀬裕哉氏が、国際政治の視点からオリンピック開会式の演出を振り返る パンデミック、各国の入場行進、イマジンが一連の流れでの構成に興味 開会式の演出を通じて見えてきた、いまの世界と日本が存在する「現在地」 東京オリンピックが1年延期を経て開催に至ったことは素直に賛辞を贈りたい。そして、菅総理を始めとした政府関係者の交渉、緊急事態宣言下での東京都民や医療従事者の方々の我慢・努力は歴史的評価に値する。 そして、オリンピックの開会式の演出をデザインした人物は「天然」の才覚を持った逸材だと思う。なぜなら、無味乾燥かつ地味な演出にも関わらず、世界の現状をシニカルにイデオロギーとして表現し尽くしたものになっていたからだ。ほとんど何の脈絡もない開会式の演目が相互に繋がることによって、無意識のうちに現代社会が有する時代性を表す一つの「作品」が完成していたと言えるだろう。 驚いた「無頓着」な演出 一例を挙げよ