海上保安庁の東京都中央区の施設から、日本初の海図に使われた明治初頭の岩手県釜石港の水深図や、昭和初期の商船の交通量を示す旧日本海軍の機密海図などの歴史的資料が大量に見つかった。 同庁海洋情報部の移転に伴い、財団法人「日本水路協会」が2010年度から資料を整理する中で発見し、約1万3500点をデジタルデータ化した。海洋情報資料館(東京都江東区)で25日から閲覧できる。特に貴重な約190点はインターネットで公開する。 同協会によると、日本の海図の父とされる海軍初代水路局長の柳楢悦らが1871(明治4)年9月に測量した釜石港の水深図は、5階倉庫にあった。この図を基に翌72年9月、日本で初めて海図が刊行された。同年10月刊行の岩手県宮古港の海図の基となった71年8月測量の水深図も見つかった。当時は鉛を付けたひもを垂らして計測したが、現在のレーザー計測に劣らぬ精度という。