無限の選択肢を前に呆然とする消費者。交換の場に本来の価値を取り戻し、そこで選ばれるためには、任される「顔」が必要になる。気鋭の経営コンサルタントが岩井克人氏との対話から戦略論を探る。連載の第2回。 ドラマチックな交換 交換の効率性はその極に達した。 ワンクリックで本が届く、柿が届く。望めば南アフリカからケープ・ペンギンも届く。私たちは、親の世代が想像できないほどの商品を前にしている。しかし、親たちよりも不満足である。さらには子どもの頃の自分よりも不満足である。ファミコンに心を躍らせたのは子どもだったからではない。昔はワクワクできた。レビューは大損しないために有用だが、予定調和を生む。「まあ、きっと面白いだろう」と思ってゲームを買う時、その面白さは半ば失われている。 レビューの星を数え、スペックを比べ、価格の一番安い店を探し、ボタンを押す。これが本質的に「交換する人間」であるわれわれが望む交