ご存知のとおり、『心を動かす交渉上手の思考法 裁判官の仕事術にみた人を納得させて動かす技術』(八代英輝著、詩想社新書)の著者は、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活躍する弁護士。 まず本書の冒頭においては、巷にあふれる「交渉術」「対人術」のたぐいがどこまで役に立つのかについて疑問を感じていると記しています。相手を煙に巻いたり、だましたりするような小手先のテクニック、姑息な詭弁のたぐいでは、その場はしのげたとしても相手を心から納得させることはできないから。つまり、それだと「いいくるめた」だけにすぎないということです。 私は人を本当に納得させ、動かしていくものは積み重ねた論理力だと考えている。つけ焼き刃の策を弄しても、人の心は動かない。客観的な材料と、それを積み上げていく論理の力によって、人は心から納得し、自ら進んで行動を起こすのだ。(「はじめに」より) 裁判官時代に培ったというこのような