老後に向けた資産形成を呼びかける金融庁の審議会の報告書を、麻生太郎金融担当相が11日、受け取らないと決めた。本格的な高齢社会を迎え、必要な蓄えの額は多くの人の関心事。報告書の内容は政治的に打ち消されたが、年金の行方など退職後のお金を巡る有権者の不安は消えないままだ。 自民党の二階俊博幹事長は11日午前、党本部に記者団を急きょ集め、金融庁に報告書の撤回を含め厳重抗議したことを明らかにした。「国民に誤解を与えるだけではなく、むしろ不安を招いておって、大変これを憂慮しております」 背景には、この報告書問題が参院選に影響することへの懸念がある。二階氏は「我々選挙を控えておるわけですから、そうした方々に迷惑を許すようなことのないように注意したい」と説明。麻生氏が報告書を受け取らない考えを表明したのは、この直後だった。 通常国会の会期末は26日に迫る。政権は参院選での勝利を第一に、今国会で野党との対決