・悪魔祓い ノーベル賞作家ル・クレジオが書いた現代文明批判。いろいろと読み方がありそうだが私は芸術論として読んだ。 著者は20代で研究者としてインディオ集落で数年間生活して、その土着の宇宙観に魅了された。悪魔祓いとはインディオにとっては医療行為であると同時に、歌や踊り、刺青や木像などの芸術的な表現を伴う営為である。ル・クレジオは芸術のための芸術がはびこるヨーロッパ文明と比べて、これこそ本物の芸術なのだと礼賛する。 インディオは個人的な創造を拒む。個人の創造として作品をつくる欧米の芸術家と対照的だ。「芸術は沢山だ。個人の表現はもうたくさんだ。そうではなくて、結ばれあうこと、そして共同して読むということ」と芸術のあるべき姿を追い求める。 「インディオたちは人生を表現しない。彼らには事件を分析する必要がない。反対に、彼らは神秘の表徴を生き、記された後をたどり、呪術が与える指示にしたがって、語り、