今日の製造業が抱えている根本問題は「大量・見込み生産の体制を残したまま、多品種少量の受注生産に移行しようとしている」ことにある。生産計画を困難にするさまざまな要因を乗り越え、より良い生産計画を実現する方法を検証してみよう。 プリウスの「見込み違い」 数年前、車を買い替えようと思い、いろいろなディーラーを回ったことがある。ちょうどプリウスの新型モデルが出た直後だったので、トヨタの販売店を訪れて見せてもらった。試乗してみるとなかなか良い。値段を聞き、ローンの説明を聞き、注文しようかな、と内心思って納期を尋ねたら、「あいにく6カ月先になります」(!)という答えが返ってきた。期待以上のヒット商品で、生産が追い付かないらしい。だが、私は長らく乗っていた車の車検が切れる少し前だった。これでは間に合わぬ。うーん、トヨタさん、生産計画を見誤ったな……。結局、購入は見送ることにした。 当時トヨタは毎年最高益