マックス・ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(岩波文庫 ISBN:4003420934)を読み、いちばん印象に残っているのは、金銭欲、拝金主義というのは歴史的、地理的に普遍的だけれども、近代資本主義を支えている精神、エートスは特殊なものだ、という指摘である。この本の主題は、その特殊な「資本主義の精神」の起源が、「プロテスタンティズムの倫理」にあることを論証することだけれども、私にとっては、その前提となる「資本主義の精神」の特性についての記述の方が興味深い。 いくつか、関連する部分を引用してみようと思う。 ……職業義務(Berufsspflicht)という独自な思想がある。……労働力や物的財産(「資本」としての)を用いた単なる利潤の追求の営みに過ぎないにもかかわらず、各人は自分の「職業」活動の内容を義務と意識すべきだと考え、また事実意識している、そういう義務の観念がある