一般的にはとても分かりにくいとされる東洋哲学に、とてもお詳しい飲茶さんという方が大変分かりやすい説明を展開してくれている良書だ。 読み終えて実感したことだが、これはたしかに「史上最強の哲学入門」と言っていい。 釈迦の「無我」とか、老子の「無為自然」とか、道元の「只管打坐」とか。 「大事なのは何となく分かるけど、なんだかよく分からない」といった部類の話が本当に分かりやすく解説されている。 そして私にとって大きな発見となったのは、比叡山出身の高僧「法然」が普及させた仏教哲学「念仏」についての箇所だった。 以下に引用してみたい。 そもそも念仏とは、ようするに「南無阿弥陀仏」などの同じ言葉を延々と繰り返すだけの簡易的な修行法のことであるが、実はその繰り返し行為は現代でも優れた精神安定剤として知られている。 たとえば、眠れないとき、「羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹……」と唱えるとよいという話を聞いたこ
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