フィリピンで収集した日本人戦没者の遺骨に旧日本兵以外の骨が混入していると指摘された問題で、厚生労働省が検証報告書を明らかにした。現地人の骨が交じった可能性を認め、民間との連携で進めてきたこれまでの事業を見直すという。 収集時に日本人かどうかを判断するのは難しい作業だ。その精度を上げ、収集方法を改善するのに異論はない。しかし、「遺骨の発見状況の確認などが足りなかった」などと民間だけを批判して幕引きしたことには疑問がある。 そもそも、遺骨収集は国家の責任として行うべき事業である。にもかかわらず、政府は十分に責務を果たしていない。だからこそ、NPO法人など民間が積極的に乗り出してきた。 海外での日本人の戦没者は約240万人で、半分近い113万柱が未帰還のままだ。うち約59万柱は収集が可能とみられている。 遺骨収集は厚労省の社会・援護局の担当だが、専門の遺骨鑑定機関もなく、スタッフは約30人しかい