呑んでホロ酔いひとり愉快。ギンギラギンにさりげなく、ダイアルまわして手を止めた、って歌謡曲のサビを歌いながら夜道をぐんぐん歩いて帰るのが最近唯一の娯楽だったのだけれど、先月末、突如現れた真夜中の不審者にその楽しみは奪われた。夜道のマザーファッカー。奴を恐れたわけじゃないが昨今若者の無差別襲撃は極めて恐ろしく、息を潜めて小路を走り抜けたり、或いは小路を避けタクシーを賃走したりと臆病者と誤解されかねない行動をとり続けたおかげで、大好きな、歌ってぐんぐんが出来なくなってしまったのだ。 なぜ僕が歌い出したかといえば、目くそを取るときに力の入れ具合を誤りマブタの裏を爪でぎびゃっと引っ掻いて負傷するわ、鮮血で充ちた左眼球にコンタクトをいれられず眼鏡を強いられるわ、眼鏡ストレスで鼻に真っ赤な吹き出物ができてホンワカパッパなドラえもんのようだわの、はは、ははは、なに、この、歌うしかない苦行、というごくごく