かつて茨城県石岡市に実在し、はぐれた主人に再会するため駅に通い続けた忠犬の物語を、同市弓弦、幼稚園園長今泉文彦さん(59)が本にまとめ、「あした会えるさ」の題で出版した。 今泉さんは「動物と人間との絆が生む感動を多くの人に伝えたい」と話している。 主人公は、1964年の暮れ、市中心部の市立東小学校に迷い込んだ茶色い小犬。児童から「タロー」と呼ばれてかわいがられ、学校で飼われるようになった。午前8時半と午後3時半を過ぎると必ず、直線で約1・6キロ離れた石岡駅に向かい、改札口の前でじっと誰かを待つのがタローの日課だった。 駅通いは、81年夏の死の前日まで17年間続いた。後に行方市の女性が元の飼い主と判明したが、生前、待ち人との再会はかなわなかった。タローの以前の名前は「コロ」。鹿島鉄道で石岡市の幼稚園に通っていた女性を、玉造町駅で送り迎えしていたが、ある朝、一緒に電車に乗り、石岡駅ではぐれたこ