宮城県女川町を襲った津波で建物全体が浮き、手前の白いコンクリート塀を乗り越えて倒れた冷凍庫施設。底面の土台があらわになった=建築研究所提供 東日本大震災の大津波をかぶった鉄筋コンクリート(RC)造の建物が土台ごと浮き上がり、横倒しになるケースが相次いだことが、独立行政法人建築研究所(茨城県つくば市)などの現地調査で分かった。従来、RC造建築物は津波に強いとされてきたが、このような事例はほとんど知られておらず、浮力に対する意外な弱点が浮かんだ。同研究所は津波に強い構造を考える上で重要な手がかりになるとしている。 福山洋上席研究員(耐震構造)らは3月30日~4月9日、大津波に襲われた岩手、宮城両県沿岸の8市6町で調査を実施した。津波の高さが14メートルを超えたとされる宮城県女川町では、最大高さ12メートルの建物などRC造の6棟が、ばらばらの方向に横倒しになっていた。 各階の内壁に残っていた津波