捜査当局は身構えたが、肝心の空き缶が見つからず、この日の捜査を打ち切った。 ところがこの時、台本にない別のドラマが進行していた。白布の場所で高速と交わる栗東市の県道で、巡回中のパトカーが白布から50メートルの場所で停車する不審なライトバンを発見。懐中電灯で運転席の男を照らすと急発進した。追跡したが、途中で一般車が割り込む不運もあり見失った。運搬車が草津PAに到着する前後のことだった。「高速に近づくな」の指示は隊員まで伝わっていなかった。 ライトバンは盗難車だった。県警は最初、白布の場所と車の停車位置が1キロ以上離れていると見誤り、単なる盗難事件と判断してしまった。 栗東で高速を下りた今江さんは、草津市内で乗り捨てられた盗難車の捜査に向かった。草津宿本陣近くの天井川のトンネルをくぐり左折した場所に、その車はあった。 <滋賀本部から草津->。聞き慣れた音声が耳に入ってきた。「警察無線がわんわん
警察をからかう挑戦状、毒入り菓子のばらまき、不気味な「キツネ目の男」-。これほど社会を揺るがした未解決事件はないだろう。劇場型犯罪と言われた「グリコ・森永事件」。犯人は現金強奪の最後の舞台に滋賀を選んだ。警察の極秘捜査が名神高速道路で進行中のまさにその時、高速道と交差する栗東市の一般道で、事情を知らないパトカーが犯人の一人が乗る不審車を発見。逃走する車を追跡したが、逃げられてしまった。犯人逮捕の最大のチャンスを逃してしまった県警は強い批判を浴びた。 「どくいり きけん たべたら 死ぬで」。青酸ソーダ入り菓子が店頭にばらまかれた。底知れぬ冷酷さを見せつける犯人を一網打尽にするラストチャンスが訪れた。 犯人はハウス食品工業に1億円の裏取引を持ちかけた。Xデーの1984年11月14日、夜の名神で息をのむ展開が続いた。滋賀県警捜査1課強行班係長だった今江明弘さん(76)=草津市=が、県警の秘匿捜査
■屋台の初日は11杯、本店オープンした時は何百杯と売れた ―屋台を引き始めてから4年後には京都市左京区一乗寺に「北白川本店」を構えます。 「本店ができる前にこってりスープは完成していた。でも、鍋が小さいから、作っても20杯分のスープにしかならない。それでは商売にならなかった」 ―こってりを本店で食べた客の反応はいかがでしたか。 「おいしいなぁと感心していた。屋台の初日は11杯しか売れなかったのに比べると、本店がオープンした時は何百杯と売れた。お客さんはタクシーの運転手が多かった。どこにでもある味を出していたらあかん。これだけ濃度のあるスープはいまだにないでしょう。よそにない味をいかに出すか。これが大事やわな」 ―天下一品でこってりを注文するのはお客のおよそ7割だそうですね。 「お客さんの半数以上がリピーター。屋台の時から通っていてくれたりする。ありがたいこと。でも50年近くたつと、お客さん
どろっと麺に絡みつく鶏がらベースのこってりスープ。多くのファンの胃袋をつかんで離さない京都発祥のラーメン店「天下一品」が、来年で創業50年を迎える。1台の屋台から出発し、全国234店、年商約200億円のチェーンを一代で築き上げたのは、天下一品グループの木村勉会長(85)だ。こってりスープが「元気の秘訣」と言う木村会長に、名物スープの誕生秘話や今後の展望について聞いた。 ―15年間勤めた画廊が倒産し、屋台を始めたそうですね。なぜ屋台を引こうと考えたのですか。 「長くボーイやバーテンダー、サラリーマンをやってきた。木屋町や祇園で働いている同僚たちの店に行っても給料をもらうだけ。宮仕えはもう十分。自分で店を持ちたいと思ったけど、お金がない。それで屋台を始めた」 「屋台を作るのに何十万円とかかるが、手元には3万7千円しかなかった。鍋三つ買ったらぱあや。そんなんでは何もできない。そこで板金屋をしてい
「逃亡犯条例」改正案を発端とした抗議活動が香港で続く中、「香港復活」などを意味する文言を書いた絵馬が、京都や奈良、大阪の寺社に奉納された後、取り外されたり、落書きされたりする被害が相次いでいることが20日までに分かった。 京都市東山区の清水寺では今月中旬、境内西側の随求[ずいぐ]堂前に掛けられた絵馬に落書きなどがされているのを職員が確認したという。ツイッターでは、香港の抗議活動を応援するために納めたとみられる絵馬の「光復香港」という文言に線が引かれたり、「×印」が書かれたりした写真が取り上げられている。 また、京都市内の有名神社では9月中旬、香港人参拝者が奉納したとみられる絵馬が、境内の一角に埋められる騒動もあった。別の神社でも、香港について書かれた絵馬に「×印」が付けられる被害があった。 奈良市の春日大社では10月中旬、神職がインターネット上で落書きされた同大社の絵馬が公開されているのを
吉本「ステマツイート」委託420万円返還を 京都市長を提訴、「フォロワー20万人未満も契約不適合」 2020年6月19日 19:59 京都市が吉本興業所属の漫才コンビ「ミキ」による施策PRのツイッター投稿に100万円を支払った問題で、京都市の住民2人が19日までに、吉本興業への委託費計420万円は違法な公金支出として、京都市長に対して、全額を吉本興業から返還させることなどを求めて京都地裁に提訴した。 訴状によると、市と吉本興業は2018年9月、京都国際映画祭の広報業務を総額420万円で委託する契約を結んだ。会員制交流サイト(SNS)で20万人のフォロワー(登録者)を持つ同社のタレントが映画祭などに関して2回発信することも含まれ、ツイートの費用は1回につき50万円だった。 原告側は、市が吉本興業以外から見積もりを取っておらず、ツイートの単価は高額として、地方自治法の「最小の経費で最大の効果を
治療並行、手錠なき逮捕 京アニ事件 歩行不能「要件満たすのか」と専門家 2020年5月28日 9:51 立命館大の渕野貴生教授(刑事訴訟法)は、逮捕・勾留の要件は自力で歩いて逃げられる程度の身体機能があることと指摘。逮捕から勾留請求までの手続きを1日で済ませた点からも、「普通の勾留には耐えられない、ぎりぎりの健康状態の人を身体拘束したことになる」と見る。その上で「警察は『医師から勾留可能との判断を得た』と説明したそうだが、医師の判断と逮捕要件を満たすかの判断は全くレベルが違う話。容疑者は取り調べに耐えられる力が限られており、意図しない供述を強いられる危険性が大きい」と警鐘を鳴らす。 龍谷大の斎藤司教授(同)も今回の逮捕に「疑問を感じる」とした上で、「容疑者の健康面、精神面に配慮しながら供述を得ることが必要。取り調べに医療関係者や弁護人を立ち会わせてコントロールすることがあってもいい」と話す
治療並行、手錠なき逮捕 京アニ事件 歩行不能「要件満たすのか」と専門家 2020年5月28日 9:51 京都アニメーション放火殺人事件で、京都府警は体が自由に動かせない状態の青葉真司容疑者(42)の逮捕に事件発生から10カ月で踏み切った。事件当時の記憶が薄れる前に取り調べをする必要があるが、重度のやけどで通常の勾留はできない-。この矛盾を解決するため、京都府警捜査本部は医療スタッフが常駐する大阪拘置所で勾留し、治療を続けながら取り調べを進めるという異例の捜査を選択した。 青葉容疑者は会話に支障がない程度まで回復したが、体は自由に動かせず、ベッドから自力で起き上がるのも難しい。移植した皮膚の炎症防止など治療も欠かせず、警察の留置施設に収容するのは不可能だった。 一方で捜査本部は、青葉容疑者の記憶の減退が進み、事件当時の精神状態や犯行の背景に関わる供述の正確性が損なわれることを懸念。動機を解明
無実の罪で服役中、大好きだったおばあちゃんはこの世を去った 冤罪生み出した「黒い正義」~湖東記念病院再審から考える 2020年4月21日 11:00 ■火の粉をかぶった自分たちが、ほかの冤罪被害者のために 「火の粉をかぶった自分たちで、再審の在り方を変えたい」。2019年3月2日、再審に関する法改正や冤罪(えんざい)検証機関設置などを目指す「冤罪犠牲者の会」が東京で設立された。現在、冤罪被害者とその家族、支援者ら約100人が参加する。 発起人の桜井昌司さん(73)=水戸市=は、長年無実の罪を着せられてきた被害者の一人だ。桜井さんも、逮捕から21年後に再審無罪を受けた東住吉事件の青木惠子さん(56)と同様、冤罪で最も奪われるものは「時間」だと話す。 桜井さんは1967年発生の強盗殺人事件「布川事件」の犯人とされ、無期懲役判決を受けた。29年間の勾留・服役中に「両親を亡くし、親になる機会も失っ
「見守ってくれてありがとう。やっと無罪になりました」。西山美香さん(40)は、判決から一夜明けた2020年4月1日に母方の祖母美恵子さん、4日に父方の祖母スミさんの墓に手を合わせた。2人は、勾留・服役中にこの世を去っていた。 両親が共働きで、「おばあちゃん子」だった。社会人になった頃、美恵子さんとよく2人でクレープやかき氷を食べに行った。正月や盆は料理上手のスミさんの家で、煮物や得意の漬物を味わった。湖東記念病院に勤めていた03年の敬老の日、2人を豆腐料理屋に招待した。「また連れて行く」と約束したのに、果たせなかった。 殺人容疑で西山さんが04年7月に逮捕された後、2人の祖母は、ふさぎ込む両親を「娘を信じなくてどうするんだ」と励ましていた。西山さんは獄中から手紙を送り、「体弱ってきたんやろな」「リハビリ頑張って」と祖母を気遣った。 スミさんは、公判中の05年に88歳で亡くなった。西山さんは
再審無罪の湖東病院患者死亡、滋賀県警が質問一切拒否 17日の本部長会見、記者クラブに通告 2020年4月16日 15:14 入院患者を死亡させたとして滋賀県警に2004年に逮捕され、殺人罪で懲役12年の判決を受け服役した元看護助手西山美香さん(40)が3月、大津地裁でのやり直し裁判(再審)で無罪判決を受けた湖東記念病院患者死亡事案について、県警は15日までに、17日に予定される本部長定例会見で、一切の質問を受け付けないと記者クラブ側に通告した。 クラブ側は、県警の滝澤依子本部長らに3月31日の判決当日に会見するよう要請したが、県警は応じなかった。今月2日の無罪確定後も、県警は西山さんに謝罪せず、滝澤本部長が見解を示す場も設けていない。 県警の定例会見は、新聞社やテレビ局など15社が加盟する「県警記者クラブ」が主催し、毎月1度行われる。本部長らが出席し、県警の施策などを説明し、クラブ幹事社が
京都大医学部付属病院(京都市左京区)に4月から配属された研修医95人のうち6割に当たる57人が、新型コロナウイルス感染予防のため飲酒を伴う会食などを禁じた病院の方針に反したとして自宅待機となっていることが7日分かった。同病院は「患者さんに安全な医療を受けていただくために必要な措置。現時点で診療に支障は生じていない」としている。 同病院などによると、3月の段階で4月から働く研修医らへ飲酒を伴う会食などの自粛方針を伝えたが、違反すると自宅待機にすることは決まっていなかった。その後、全国で研修医の新型コロナウイルスへの感染が問題となっていることを踏まえ、同病院として自宅待機を決定したとしている。研修医以外にも、自宅待機となった職員はいるという。 7日午前段階で診療機能の抑制は行われていないが、手術の一部停止などを容認しているという。 研修医の集団感染を巡っては、慶応大病院(東京都)で初期研修医の
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