佐太郎の筆による自叙伝の題字。自身を「神州麿」と称していた(「娑婆」より) 吹上佐太郎が現代に残したもの 佐太郎の性的欲求が女性のうち特に少女に向かったのは、反抗される可能性が低かったからだろう。逆にいえば、常に強いものを恐れていたことになる。「娑婆」などを見ても、佐太郎は女性との性交渉よりも、女体を眺め、触ることに異常な関心と執着を持っていることが分かる。それも彼の犯行の特徴だろう。 「小児性愛」と呼ばれる性犯罪はいまも絶えない。「吹上佐太郎」は約1世紀前の伝説的な性犯罪者ではなく、現代にも生きているといえるのかもしれない。佐太郎が書き残したもので、特に現代においても教訓的なのは、「自分のような人間を生み出さないためにも」という思いを込めたのだろう、次のような「遺訓」だ。 1.子どもにはいかなることがあってもひもじい思いをさせぬこと 2.就学年齢に達した者には必ず教育をほどこすこと 3.