文部科学省が来年度から小中学生に配布する道徳用の新教材「私たちの道徳」には、いじめ問題への対応などのほか、「日本人としての自覚」を深める記述も数多く盛り込まれた。分かりやすい物語で、日本人が昔から大切にしてきた“美しい心”とは何かを考えさせる内容だ。文科省は「道徳的価値を教え込むものではない。周囲と話し合って考えを深めてほしい」としている。 小学5・6年生用の教材に盛り込まれたのは、剣道をめぐる物語だ。 親にすすめられて剣道をはじめた小学生が、正座の仕方や立ち方、礼の仕方などを厳しく教えられ、《何でこんなに礼にこだわるんだろう》と疑問を抱く。初めて迎えた試合の日。あっさり負けてしまい、ふてくされた態度で礼をすると、先生から「剣道をやる資格がない。他の試合をよく見てみなさい」と叱られる。 《先生は何を怒っているのだろう》。そう思いながら上級者の試合を見ていると、試合に負けたあとでも立派な態度