◇命優先、親から隔離 救う親族もなく施設転々 お昼ごはんの時間になった。エプロンをかけた赤ちゃんたちが保育士に見守られ、テーブルを囲む。食欲旺盛な優美ちゃん=仮名=はパンを両手でつかんでおいしそうにほおばる。職員が「おかわりする?」と声をかけるとすぐに立ち上がり、大好きなパンをもらいに行った。 おかわりのパンまでたいらげた優美ちゃんに記者は「いくつ?」と聞いた。人さし指をぴんと立てた。 首都圏にあるこの乳児院に優美ちゃんが入所したのは、生後4カ月のころ。その2カ月前、おむつ替えをしていた祖母が足の腫れに気付いた。病院に連れて行くと全身を11カ所も骨折していた。動けない赤ちゃんが自分でけがをしたとは考えにくく、母親による虐待が疑われた。しかし母親は「全く覚えがない」と言い切った。 入所時、院長は医師に「うまく歩けるようになるか分かりません」と告げられた。それが1歳半を過ぎた今、他の子たちと同