オーディオのスピーカーと言ったら木の箱で作られているもの、という固定観念は捨てた方がいい。マンホールのふたなどを手がける北海道旭川市の鋳物工場が開発したスピーカーは重い鋳鉄でできているが、自然な音が再現できると全国にファンを広げている。今年の北海道チャレンジ企業表彰やものづくり日本大賞の優秀賞を受賞するなど、確かな技術は行政も認めるところだ。唯一無二の商品を生み出した臼井憲之社長(50)は「これからも旭川に根ざして、ここの気候風土にあったものづくりに励みたい」とこだわりを見せる。(札幌支局 藤井克郎) 旭川市郊外の工場地帯の一角に、目指す臼井鋳鉄工業はあった。大正14年の創業で、社員10人という典型的な町工場の風情だが、昨年3月に2階の事務所を改装して作ったというギャラリーに案内されて驚いた。同社が製造するスピーカー「CASTRON」がぐるりと配され、アコースティックギターの繊細な音からハ