『千と千尋の神隠し』以降の変化 宮崎アニメの最高傑作、ミケランジェロで言う『サン・ピエトロのピエタ』にあたる作品はどれだろうか。ナウシカ、ラピュタ、トトロといった80年代の作品か、興行収入・世界的評価ともに頂点を極めた『千と千尋の神隠し』か。 観客によってその判断は違うだろうが、『千と千尋』以降の宮崎アニメが、観客の求める「宮崎アニメらしさ」から意図的に外れるような、不可解で不気味な暗さを深めてきたことは多くの観客が感じ取っていたのではないかと思う。 『ハウルの動く城』では老いを描いた。『崖の上のポニョ』では聖書の洪水のような津波に飲まれる現代を黙示録的に描いた。そして『風立ちぬ』では暗く不気味な戦前と愛する人の死を描いた。アニメーションは子どもに希望を与えるものだ、という言葉とともに送り出された20世紀の宮崎アニメに比べて、近年の作品は一作ごとに闇と不条理を深めていくように見えた。 『ハ