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ブックマーク / sskdlawyer.hatenablog.com (32)

  • 始業時間、終業時間が一律「9:00~18:00」と記載された勤務表を漫然と受け取り続けていた使用者に安全配慮義務違反が認められた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.労働時間管理義務 労働時間の管理について、厚生労働省は、 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)」 という文書を作成しています。 この文書の中に、 「労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けているこ とから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責 務を有している。」 「使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいず れかの方法によること。」 「ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。」 「イ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎 として確認し、適正に記録すること。」 などと書かれているとおり、使用者には、労働者の労働時間を適切に把握すべき労働基準法上の責務があります。 労働時間の適正な把握のた

    始業時間、終業時間が一律「9:00~18:00」と記載された勤務表を漫然と受け取り続けていた使用者に安全配慮義務違反が認められた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ
  • メールによる労働時間立証の落とし穴-そのメール、社内から出したもの? - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.労働時間立証の証拠としてのメール 時間外勤務手当等を請求するためには、労働者の側で何時から何時まで働いていたのかを主張、立証する必要があります。 そして、タイムカードによって労働時間が管理されていない場合、あるいは、打刻してから働いていたなどタイムカードが労働実体を反映していない場合、送信メールの送信時刻によって労働時間の立証を試みることがあります。遅くともこのメールを送信した時刻には業務を開始していた/少なくともこのメールを送信した時点までは業務に従事していたといったようにです。 しかし、メールによる労働時間立証は、必ずしも奏功するわけではありません。失敗する場合の典型が、社外からもメールを送信していた場合です。この場合、裁判所は、メールの送信時刻に基づいて始業時刻、終業時刻を認定することに対し、慎重な姿勢をとることがあります。近時公刊された判例集に掲載されていた東京地判令4.12.

    メールによる労働時間立証の落とし穴-そのメール、社内から出したもの? - 弁護士 師子角允彬のブログ
  • 労働時間の立証-パソコンのログオフ記録が存在しない日については、存在する期間の終業時刻の平均をもって算出するのが相当とされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.労働時間の立証 労働事件では、労働時間の立証が必要になるケースが少なくありません。 典型的には残業代を請求する場合ですが、それ以外にも、長時間労働により疾病に罹患したとして労災を申請したり労災民訴を提起したりする場合にも、労働時間の立証が必要になります。 昨日お話したとおり、会社には労働者の労働時間を管理する義務があります。 始業時間、終業時間が一律「9:00~18:00」と記載された勤務表を漫然と受け取り続けていた使用者に安全配慮義務違反が認められた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ この義務が適切に履行されているケースでは、労働時間の立証にそれほど苦労することはありません。 しかし、労働時間を管理する義務が懈怠されている例は、決して少なくありません。 こうした場合には、どのように労働時間を立証するのかが重要な課題になります。労働時間の立証については、厳密な立証が求められることが少な

    労働時間の立証-パソコンのログオフ記録が存在しない日については、存在する期間の終業時刻の平均をもって算出するのが相当とされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ
  • パワーハラスメントの事実を否定したり知らないと述べたりする同僚職員が多数いることは、どのように評価されるのか? - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.パワーハラスメントの立証-ハラッサ―は怖い? 訴訟でパワーハラスメントの存在を主張すると、使用者側から 「ハラスメントなんか受けていなかった。」 「ハラスメントを受けている場面を見たことはない。」 といった内容の書かれた同僚の陳述書が多数提出されることがあります。 しかし、こうした立証活動には、どれだけの意味があるのでしょうか? 就労経験のある人であれば、ある程度想像できるとは思いますが、パワーハラスメントの加害者は、関わり合いになりたくない人種であることが殆どです。パワーハラスメントをしている場面を見たことがあるなどと言えば、どのような報復を受けるか分かったものではありません。それを措くとしても、ハラスメントが行われていたと証言することは、しばしば雇い主の不利益に作用します。雇い主に不利益な供述をすれば、良くて現状維持、悪ければ有形無形の不利益を受けます。このような状況のもと、同僚に

    パワーハラスメントの事実を否定したり知らないと述べたりする同僚職員が多数いることは、どのように評価されるのか? - 弁護士 師子角允彬のブログ
  • 自衛隊内での常軌を逸したハラスメント-レモンの汁を目に入れさせるのは職務関連性あり、性器でかき混ぜた焼酎を飲ませたり、小便をかけるのは職務関連性なし - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.パワハラ上司個人を訴えられるか?(公務員の場合) このブログでは、過去、何回か、パワハラ被害を受けた公務員の方が、上司個人を訴えることができるのか? というテーマを扱ったことがあります。 パワハラ上司個人を訴えられるか?(公務員の場合) - 弁護士 師子角允彬のブログ パワハラ上司個人を訴えられるか?(公務員の場合)Ⅱ-私的制裁に対しては責任追及の余地はあるかもしれない - 弁護士 師子角允彬のブログ 結論から申し上げると、上司である公務員個人を訴えるのは、現行の裁判実務上、極めて困難であると言わざるを得ません。国家賠償法という法律の解釈として、公務員の個人責任を問うことはできないとされているからです(最三小判昭30.4.19民集9-5-534、最二小判昭53.10.20民集32-7-1367等参照)。 ただ、いかなる場合にも個人責任の追及はできないとする解釈には有力な反対説もあり、責

    自衛隊内での常軌を逸したハラスメント-レモンの汁を目に入れさせるのは職務関連性あり、性器でかき混ぜた焼酎を飲ませたり、小便をかけるのは職務関連性なし - 弁護士 師子角允彬のブログ
  • レベルが低すぎるハラスメントは安全配慮義務違反の対象から除かれるのか?-公務員が加害者の個人責任を問う上での注意点 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.公務員の個人責任を問うことの副作用 民間の場合、ハラスメントの被害者は、会社を訴えるとともに、加害者個人を訴えることもできます。 これに対し、公務員の場合、ハラスメントの被害者が加害者個人を訴えることは、基的に認められていません。国家賠償法という法律の解釈についての最高裁判例で、公務員個人の責任を問うことはできないと理解されているからです(最三小判昭30.4.19民集9-5-534、最二小判昭53.10.20民集32-7-1367等参照)。 これに対して被害者サイドから強い批判があることは、このブログでも折に触れて紹介してきたとおりです。 個人責任を問えないことに納得できない被害者は、最高裁判例の壁を乗り越えるため、しばしば 「職務を行うについて」なされた行為ではない というロジックを展開します。 国家賠償法1条1項は、 「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うに

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  • 定例ミーティングの廃止が不当な目的のもとで行われた仕事外しに当たり得るとされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視) 職場におけるパワーハラスメントの代表的な類型の一つに、 「人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)」 があります。 具体的には、 「自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。」 がこれに該当すると理解されています(令和2年厚生労働省告示第5号『事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針』参照)。 このように仕事外しは、ハラスメントに該当し得ることが一般に承認されています。 しかし、パワーハラスメントに該当するといえるためには、業務上必要かつ相当な範囲を逸脱している必要があります。誰にどのような仕事を担当させるのかについては、一般に使用者に広範な裁量が認められていることもあり、仕事外しが業務上必要かつ相当な

    定例ミーティングの廃止が不当な目的のもとで行われた仕事外しに当たり得るとされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ
  • 他の従業員とは異なる差別的態度をとること(「指示はまたメールでします」と述べたこと)がパワーハラスメントに該当し得るとされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.人間関係からの切り離し(無視類型) 職場におけるパワーハラスメントの代表的な類型の一つに、 「人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)」 があります。 これには、 「自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。」 「 一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。」 などが該当すると理解されています(令和2年厚生労働省告示第5号『事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針』参照)。 この「人間関係からの切り離し」に含まれる無視類型は、法律相談レベルでは比較的よく見聞きします。 しかし、実際に事件化することは、それほど多いわけではありません。なぜなら、立証が非常に難しいからです。 殴る・蹴るのような身体的な攻撃は診断書等によって立証するこ

    他の従業員とは異なる差別的態度をとること(「指示はまたメールでします」と述べたこと)がパワーハラスメントに該当し得るとされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ
  • 大学教授の授業担当外しが違法とされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.大学教授の特殊性 一般論として、労働者には特定の仕事をさせるように請求する権利(就労請求権)までが認められているわけではありません(東京高決昭33.8.2判例タイムズ83-74参照)。 しかし、これには幾つかの例外があります。その一つが大学教授です。大学教授には就労請求権が認められる傾向にあります(第二東京弁護士会労働問題検討委員会『2018年 労働事件ハンドブック』〔労働開発研究会、第1版、平30〕10頁参照)。 この就労請求権との関係で、授業担当をすることの権利性が問題になった裁判例が、近時公刊された判例集に掲載されていました。昨日、一昨日とご紹介させて頂いている東京地判令2.10.15労働判例1252-56 学校法人国士舘ほか事件です。 2.学校法人国士舘ほか事件 件は大学教授に対する懲戒解雇・降級処分の効力が問題になった事件です。 被告になったのは、 7学部及び大学院10研究

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    soramimi_cake
    soramimi_cake 2024/01/31
    就労請求権
  • 感情を荒らげることなく淡々とした口調で話していても、アカデミックハラスメントが成立するとされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.アカデミックハラスメント 大学等の教育・研究の場で生じるハラスメントを、アカデミックハラスメント(アカハラ)といいます。 多くの大学はアカデミックハラスメントをハラスメント防止規程等で禁止しています。しかし、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントとは異なり法令上の概念ではないことから、どのような行為がアカデミックハラスメントに該当するのかは、必ずしも明確ではありません。 職務上、大学教員・大学職員の方の労働問題を取り扱うことが多いことから、何がアカデミックハラスメントに該当するのかには関心を有していたところ、近時公刊された判例集に、長時間にわたり反論の機会をほとんど与えることなく追及し続けたことがアカデミックハラスメントに該当するとされた裁判例が掲載されていました。高松高判令5.9.15労働判例ジャーナル142-56 損害賠償請求(アカデミック・ハラスメント)事件です。 2.損害

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  • 僧侶・修行僧の労働者性(肯定) - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.僧侶・修行僧の労働者性 一般論としていうと、住職たる地位の確認を求める訴えの提起は認められません。具体的な法律関係に関する問題でなく、法規の適用によって終局的に解決すべき法律上の争訟に当たらないと理解されているからです(芦部信喜 著 , 高橋和之 補訂『憲法』第七版』(岩波書店、第7版、令元)351頁参照)。 しかし、寺に出仕している人と寺との関係性の全てが司法審査の対象にならないのかと言われると、そういうわけでもありません。寺からお金をもらって出仕している僧侶・修行僧の方は多々いますが、こうした寺と僧侶(修行僧)との関係が雇用契約・労働契約に該当するのではないかは、しばしば裁判所でも問題になっています。近時公刊された判例集に掲載されていた、大阪地判令5.9.15如在寺事件も、そうした事案の一つです。 2.如在寺事件 件で被告になったのは、 日蓮宗の教義を広め、儀式行事を行うこと等を

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  • 厳格に成績評価を行うように指示された大学教員が、厳格な成績評価を行ったところ、不合格者が出すぎて雇止めされた例(消極) - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.成績評価の厳格化 文部科学省は、繰り返し、大学の成績評価を厳格にすべき方針を打ち出しています。 例えば、 ・平成12年度以降の高等教育の将来構想について(答申)(平成9年1月29日 大学審) 「卒業に関しては、教育の内容・方法の一層の充実を図り、教育理念や目標を踏まえて厳格に学習成果を評価し、単位を認定することによって、卒業生の質の確保を図っていくことが強く求められている。」 ・21世紀の大学像と今後の改革方策について(答申)(平成10年10月26日 大学審) 「学生の卒業時における質の確保を図るため、教員は学生に対してあらかじめ各授業における学習目標や目標達成のための授業の方法及び計画とともに、成績評価基準を明示した上で、厳格な成績評価を実施すべき。」 「厳格な成績評価については、例えばGPAと呼ばれる制度を活用した取組を行っている大学もあり、各大学においては、このような例も参考とし

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  • 裁判所からの和解勧試を「検討する」ことの意義(NGT裁判) - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.裁判所からの和解勧試を「検討する」ことの意義(NGT裁判) ネット上に、 「NGT48裁判 地裁が和解提案 AKSは山口さん証人申請断念」 との記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200302-00000545-san-soci 記事には、 「新潟を拠点に活動するアイドルグループ『NGT48』の元メンバー、山口真帆さん(24)に対する暴行問題をめぐり、運営会社『AKS』(東京)が、暴行容疑で逮捕された男性ファン2人=不起訴=に3000万円の損害賠償を支払うよう求めた裁判で、新潟地裁が原告と被告に和解を提案したことが2日、AKS側代理人弁護人(これは「弁護士」の誤記だと思います。以下同じ。括弧内筆者。)への取材で分かった。両者とも『検討する』として持ち帰ったという。」 「同弁護人によると、同日に開かれた弁論準備手続ではこの

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  • 落第生を再試験で救済しようとした大学教授が懲戒処分を受けた事件 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.落第生を再試験で救済しようとした大学教授が懲戒処分を受けた事件 学期末試験の成績が振るわず、単位を取得できなかった学生から泣きつかれ、再試験で学生を救済しようとした大学教授が、停職8か月の懲戒処分を受けた事件が公刊物に掲載されていました(山形地判平30.12.25労働判例ジャーナル87-95 学校法人東北芸術工科大学事件)。 学生は、 「件講義の単位を取得できれば、被告大学を卒業して、決まっていた進路に進むことができることを伝えた上で、再試験やレポート提出等の措置を執ってもらえないか」 などと大学教授に頼み込みました。 根負けした大学教授は、再試験を実施し、 「学生Aの件学期末試験における得点を1点としたのは、正確には12点であったのを原告が誤認していたことによるミスであったと説明」 して成績変更申請をしました。 しかし、明文で禁止してこそいなかったものの、大学は再試験を行うことを

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  • 大学助教の雇止め 有期雇用契約の更新の時に「あと一回だけなら更新する」と言われたら・・・ - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.無期転換ルール 有期雇用契約には「無期転換ルール」があります。 無期転換ルールとは、同一の使用者との間で5年を超えて有期労働契約が更新された場合に、労働者に対して有期労働契約を無期労働契約に転換する権利が与えられることをいいます(労働契約法18条参照)。 この無期転換ルールの適用を避けるため、無期転換権が発生する手前のところで、使用者側が「あと一回だけなら更新する。」という留保を付けて契約の更新を持ち掛けてくることがあります。 このような場合、長く働くことを希望する労働者側は、次の二つの方針のうち、いずれかを選択することを迫られます。 一つ目は、現時点で雇止めの効力を争うという方針です。 契約が更新されるという期待に合理的な理由がある場合、客観的合理的理由・社会通念上の相当性がなければ、雇止めをすることはできません(労働契約法19条参照)。「あと一回だけという条件は承諾できない。」と言

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  • アルバイトと正社員等との間での通勤手当の支給に係る労働条件の差異が不合理とされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.労働契約法旧20条 労働契約法20条に、 「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において『職務の内容』という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」 という規定がありました。 大雑把に言えば、有期契約社員と無期契約社員との間で、不合理な労働条件格差を設けてはならないとする条文です。 この規定の理解について、令和2年10月15日に5つの重要な最高裁判決が言い渡されたことは、このブログでもご紹介させて頂いたとおりです。これら最高裁判決が言い渡される前の下級審裁判例ではありますが

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  • 「明日から来なくていい」の法的な意味-続報 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.解雇? 合意退職? 以前、 「『明日から来なくていい』の法的な意味-曖昧な言葉を事後的に都合よく解釈する手法への警鐘」 という記事を書きました。 https://sskdlawyer.hatenablog.com/entry/2019/08/15/000113 この記事の中で、「明日から来なくていい。」という多義的な言葉について、解雇とみることにも合意退職の契機とみることにも消極的な判断をした裁判例をご紹介しました(津地判平31.3.28労働判例ジャーナル89-32伊勢安土桃山城下街事件)。 この記事の控訴審判決が近時公刊された判例集に掲載されていました。名古屋高判令元.10.25労働判例1222-71「みんなで伊勢を良くし気で日と世界を変える人達が集まる」(旧商号:伊勢安土桃山城下町(株))事件です。 2.「みんなで伊勢を良くし気で日と世界を変える人達が集まる」事件 控訴審で

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  • パワハラ上司個人を訴えられるか?(公務員の場合) - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.会社よりも加害者である上司が許せないという人もいる パワーハラスメントに関する相談を受けていると、会社よりもハラスメントの加害者である上司に対して強い被害感情を持つ方がいます。 こうした方から、加害者である上司個人を訴えてくれという依頼を受けることがあります。 民間企業での勤務関係を前提とした場合、上司の方のハラスメントが、それ自体不法行為を構成するようなものであれば、上司単体を訴えるということも、選択肢としてないわけではありません。 ① 会社の安全配慮義務違反の構成をとった方が、配慮に欠けた処遇をしたという部分まで広くカバーできること、② 会社の方が個人よりも賠償資力を有している可能性が高いこと、③ 民事訴訟は報復というよりも被害回復のために設計された制度であることから、普通は会社単体か、会社と加害者をセットで訴える場合が多いだけです。 2.公務員上司個人を被告にすることが難しい

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  • アカデミックハラスメントによる懲戒処分(教授⇒専任講師・准教授への降格・降等級)が無効とされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.アカデミックハラスメント 大学等の養育・研究の場で生じるハラスメントを、アカデミックハラスメント(アカハラ)といいます。 セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント、パワーハラスメントとは異なり、アカデミックハラスメントは、法令上の概念ではありません。各大学が独自に定義を定め、その抑止に努めています。 アカデミックハラスメントは、多くの場合、懲戒事由にも該当します。しかし、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント、パワーハラスメントが、それに該当したからといって必ずしも懲戒処分の対象になるわけではないのと同様、アカデミックハラスメントも、該当する行為が認められたからといって、必ずしも懲戒処分の対象になるわけではありません。「当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」、懲戒

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  • アカデミックハラスメントと教育的指導の境界線-きついメッセージ・チャットワークからの除外 - 弁護士 師子角允彬のブログ

    1.アカデミックハラスメント 大学等の教育・研究の場で生じるハラスメントを、アカデミックハラスメント(アカハラ)といいます。 セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント、パワーハラスメントとは異なり、法令上の概念ではありませんが、近時、裁判例等で扱われることが多くなってきています。職務上、大学教員・大学職員の方の労働問題を取り扱うことも多いことから、個人的に関心を持っている領域の一つです。 パワーハラスメントと業務上の指導との区別が問題になるのと同じように、アカデミックハラスメントが不法行為を構成するのか否かの判断にあたっては、しばしば教育的指導との区別が問題になります。近時公刊された判例集に、この境界線を知るうえで参考になった裁判例が掲載されていました。宇都宮地判令3.9.9労働判例ジャーナル117-60 国立大学法人山形大学事件です。 2.国立大学法人山形大学事件 件で被告にな

    アカデミックハラスメントと教育的指導の境界線-きついメッセージ・チャットワークからの除外 - 弁護士 師子角允彬のブログ