米国で製造業の国内回帰が指摘されるなか、中国で委託製造するアップルの動向が注目されている。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は5月末、「米国で製造できることを願っている」と発言して期待を抱かせた。数十万人の雇用とブランドが戻れば影響は計り知れないが、実は簡単にはいきそうにない。米国へのアップル回帰を阻むのは意外にも「技術」の不在。それは日本企業にも共通の課題だった。(坂本英彰)デザインは米国、組み立ては中国 「カリフォルニアのアップルがデザインし、中国で組み立てられた」 スマートフォン「iPhone」やタブレット型端末「iPad」の裏には、小さな文字でこう書かれている。 1976年に「アップルI」を発売したアップルは長く、米カリフォルニア州で製品をつくってきた。工場を持たず海外メーカーへの製造委託を本格化させたのは、ここ10年ほどのことだ。 ほとんどの組み立ては中国だが、部品までたどる