リンク スティーブ・ジョブズの成功を後押しし、アップルの設計思想に影響を与えたとされる禅僧をご存知だろうか。名を乙川弘文という。ジョブズが20歳の頃から深い信頼を寄せ、弘文が急逝した時にはさめざめと泣いたらしい。だが、ジョブズのように心酔する者もいれば「僧侶らしくない」と毛嫌いする関係者もおり、実に謎の多い人物であるようだ。 『宿無し弘文 スティーブ・ジョブズの禅僧』は、そんな弘文の素顔に迫ったルポルタージュ。日米欧の宗教家、シリコンバレーの住人、遺された家族など、弘文に縁のある30名に7年がかりで取材し、得られた証言が収められている。証言の食い違いを解き明かして弘文の実像に迫る様は推理小説のようだ。著者の柳田由紀子氏は在米のジャーナリストで、ジョブズと弘文の交流を描いた『ゼン・オブ・スティーブ・ジョブズ』 (集英社インターナショナル)を翻訳した縁で弘文に惹きつけられたという。 ヒッピー文