曹洞宗松岩寺(下吉沢)の生まれで、55歳で渡米しサンフランシスコに禅センターを開設するなど、禅の思想を広めた僧侶・鈴木俊隆(1904―71年)の足跡を、地域の歴史を掘り起こす「吉沢歴史クラブ」(山田文雄代表)が辿っている。同会メンバーは、「俊隆さんの存在を知らない地元の人は少なくない。ぜひ知ってほしい」と口を揃える。 俊隆僧侶は松岩寺の25世住職・鈴木祖岳の息子。蔵雲院(静岡県森町)に入門するまでの12年を同寺で暮らした。1740年代に建立された本堂は、関東大震災に見舞われても倒壊せず現在に残っている。山田さんは「当時は松が生い茂って鬱蒼としていた。そんな中で俊隆さんも遊んでいたのでは」と目を細める。 俊隆僧侶の著書『禅マインド ビギナーズ・マインド』は、禅のバイブルとして知られ、アップル社を創業したスティーブ・ジョブズが「擦り切れるほど読んだ」とコメントするほど。外国人観光客が同寺に聖地