菅直人首相が8月28日、工場建設など企業の国内投資を促す対策をまとめるように直嶋正行経済産業相ら関係閣僚に指示した。税制優遇措置や規制緩和などを盛り込んだ対策になると見られる。深刻な雇用情勢へ対応する狙いもあるのだろう。 しかし、雇用吸収力が大きい自動車メーカーなどの多くの製造業は、税制優遇や補助金があっても日本国内に投資はしないだろう。その理由は簡単だ。少子高齢化が進む日本はもはや将来性のある「市場」ではないからだ。 最終消費財を造るメーカーは「市場」に近いところで製造するのが大原則だ。この結果、最終消費財メーカーに材料を提供する素材メーカーも海外への進出が加速する。 さらに進みそうな円高も、製造業の国内投資を渋らせる要因になるだろう。政府がいくら対策を打っても、これからは海外への投資ばかりが加速するのが現実だ。 弱肉強食のグローバル経済の中で戦う企業の判断はシビアだ。その現実が見えない