ブックマーク / blog.tatsuru.com (8)

  • 民主政の終わり - 内田樹の研究室

    都知事選の翌日にニッポンドットコムという媒体からインタビューを受けた。以下はその記事に少しリタッチしたもの。 今回の都知事選では、選挙は民主主義の根幹を為す営みであるという認識がかなり深刻な崩れ方をしているという印象を受けた。選挙というのは有権者が自分たちの立場を代表する代議員を選ぶ貴重な機会であるという認識が日からは失われつつあるようだ。 投票する人たちは「自分たちに利益をもたらす政策を実現してくれる人」を選ぶのではなく、「自分と同じ部族の属する人」に投票しているように私には見えた。自分と「ケミストリー」が似ている人間であるなら、その幼児性や性格の歪みも「込み」で受け入れようとしている。だから、仮に投票の結果、自分の生活が苦しくなっても、世の中がより住みにくくなっても、それは「自分の属する部族」が政治権力を行使したことの帰結だから、別に文句はない。 自分自身にとってこの社会がより住みよ

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    spark7 2024/07/12
    『市民に対して「大人になれ」という面倒な仕事を押し付ける。だから、民主政は嫌われるのである』/ コミュ障候補とコミュ障有権者が意気投合してた選挙は異様だったな。ブコメも駄々っ子でいっぱいだ。
  • フリーライダーの効用 - 内田樹の研究室

    高齢者の集団自決が高齢化対策の秘策であると公言した若い経済学者の発言が話題を呼んでいる。 彼の言う「人間は引き際が重要だと思う」ということにも「過去の功績を使って居座り続ける人がいろいろなレイヤーで多すぎる」という事実の摘示にも私は同意する。でも、使えないやつは有害無益だから、集団から追い出すべきだという論には同意しない。人道的な立場からというよりは組織人としての経験に基づいてそう思うのである。 組織に寄生して、何も価値を生み出さず、むしろ新しい活動の妨害をする「フリーライダー」はどのような集団にも一定数含まれる。この「無駄飯い」の比率を下げることはたしかに集団のパフォーマンスを向上させることにある程度までは役立つだろう。ただし、「ある程度」までである。というのは「無駄飯いの排除」作業に割く手間暇がある限度を超えると、その作業自体が集団のパフォーマンスを著しく低下させるからである。 組

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    spark7 2024/03/11
    元のやつが、穏便に立場から退いてもらう的なイメージの論だけど、実行となると強制隠居みたいな排除ぽい策になりそうだわな。
  • 文字の書けない子どもたち - 内田樹の研究室

    高校の国語の先生から衝撃的な話を聴いた。生徒たちが文字を書けなくなっているというのである。教科書をただノートに筆写するだけの宿題を毎回課すが、やってくるのは半数以下。授業中に書いた板書をノートに写すようにという指示にも生徒たちは従わない。初めはただ「怠けているのか」と思っていたが、ある時期からどうもそうではないらしいことに気がついた。 『鼻』の作者名を問うテストに「ニコライ・ゴーゴリ」と答えを書いた生徒がいた。ゴーゴリもその名の短編を書いているが、教科書で読んだのは芥川龍之介である。どうしてわざわざゴーゴリと書いたのか生徒に訊ねたら「漢字を書くのが面倒だったから」と答えたそうである。 生徒たちの提出物の文字が判読不能のものが増えて来たという話は大学の教員たちからも聴く。学籍番号までは読めるが、名前が読むのが困難で、コメントの文字に至ってはまったく解読不能のものが少なくないという。何を書いた

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    spark7 2024/02/27
    俺もペンで文字を書くのがダメになった。ちょっとした申込書でも辛い。日本語は画数多すぎて正しい位置にペン先を置く精度を出すのが苦行になる。/ 若いうちから発症するのは凄いなと思うが。
  • 岸田政権は何をしようとしているのか - 内田樹の研究室

    ある媒体からインタビューのオファーがあった。岸田政権の新年度予算成立を受けて、「なぜ政権はこれほど性急に防衛予算の拡大に進むのか」について訊かれたので、次のように答えた。 今回の防衛費増額の背景にあるのは岸田政権の支持基盤の弱さだと思う。 彼にとって喫緊の課題は二つだけである。一つは国内の自民党の鉄板の支持層の期待を裏切らないこと。一つは米国に徹底的に追随すること。日の将来についての自前のビジョンは彼にはない。 今回の防衛予算や防衛費をGDP比2%に積み上げるのも、米国が北大西洋条約機構(NATO)に求める水準に足並みをそろえるためであって、日の発意ではない。日が自国の安全保障戦略について熟慮して、必要経費を積算した結果、「この数字しかない」と言ってでてきた数字ではない。アメリカから言われた数字をそのまま腹話術の人形のように繰り返しているだけである。 国民がこの大きな増額にそれほど違

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    spark7 2023/04/03
    兵器の認識はアレだが、対米追従のそれはだいたいそんな感じね。どうせ変わらないなら自公に入れとこうみたいな言説が選挙前に増田に沸く現象は、その種の諦めを「現実的な選択だった」と自らを騙したいからなのか。
  • 統一教会、安倍国葬について他 - 内田樹の研究室

    あるネットメディアからインタビューを受けた。もう公開されているので、少し長い別ヴァージョンをあげておく。 ―これから安倍系右翼はどうなると思いますか? 内田 おっしゃっている「安倍系右翼」という言葉の定義を僕は知らないのですけれど、言いたいことは何となくわかります。それが「安倍晋三という個人の求心力やカリスマ性に依存して存在感を発揮していた政治勢力」という意味でなら、その人たちはこの事件をきっかけに力を失い、弱体化すると思います。 実際に安倍元首相の死後、彼の庇護下でこれまで「いい思い」をしてきたネット論客たちはいまほぼ沈黙状態にあります。どういうスタンスでこの事件に向き合って良いのかについての組織的な合意形成ができていないのでしょう。もともと安倍晋三個人が手作りしたネットワークですから、ハブが不在になると、合意形成のための場も、ルールもない。代わりを務めることのできる人がいない。ですから

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    spark7 2022/09/12
    おもしれえな。/ 自民の党是はずっとこれだから支持したくないけど有権者はこれ押しなんだよな「対米従属を通じての対米自立」
  • 共感にあらがえ - 内田樹の研究室

    はじめて永井陽右君に会ったのは朝日新聞のデジタル版での対談だった。もう3、4年前だと思う。ひさしぶりに「青年」というものに出会った気がした。デジタル版だったので1時間半くらいの対談内容がそのまま掲載された。それを再録しておく。 永井:私は仕事としてテロ組織から降参した人のケアや社会復帰の支援などをやってきました。しかし、国際支援の分野での対象者や対象地に関する偏りがどうも気になっていて。難民だとか子どもだとかそういう問題になると情動的な共感が生まれるのに対して、「大人で元テロリストで人殺しちゃいました」とかだと、それがまるで真逆になる。抱えている問題が同じだとしても、「なんでそいつまだ生きてるんですか?」て話になってしまう。そこが問題意識としてもともとありました。 今の日社会をみると、共感がすごくもてはやされていて、その状況に違和感を持っています。ただ同時に、「共感」の欠点を自分のなかで

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    spark7 2022/08/14
    『共感は本能や反射ではない』
  • 憲法の話(長いです) - 内田樹の研究室

    もうすぐ出るSB新書の『戦後民主主義に僕から一票』には憲法について過去にブログに載せた文章がいくつか再録されている。これもその一つ。ただし、新書化に際して大幅に加筆したので、オリジナルの2倍くらいの量になっている。今日は11月3日。日国憲法公布から75年経った。改めて憲法について考えたい。 私が憲法に関して言いたいことはたいへんシンプルである。それは現代日において日国憲法というのは「空語」であるということだ。だから、この空語を充たさなければいけないということだ。 日国憲の掲げたさまざまな理想は単なる概念である。「絵に描いた」である。この空疎な概念を、日国民であるわれわれが「受肉」させ、生命を吹き込んでいく、そういう働きかけをしていかなければいけない。 憲法は書かれたらそれで完成するというものではない。憲法を完成させるのは、国民の長期にわたる集団的努力である。そして、その努力が十

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    spark7 2021/11/03
    社会の教師には憲法前文を執拗に刷り込まれたけど、そういう自然物と見做す世代だったのかな。欺瞞込みでも今となっては有り難い気もしないでもない。
  • 安倍政権の7年8カ月 - 内田樹の研究室

    安倍政権7年8カ月をどう総括するかと問われたら、私は「知性と倫理性を著しく欠いた首相が長期にわたって政権の座にあったせいで、国力が著しく衰微した」という評価を下す。 日は今もGDP世界三位だし、軍事力でも世界五位の「大国」である。国際社会の中では「先進国」として遇されているし、米国の東アジアにおける最も信頼できる同盟国であるという評価も安定している。けれども、日が「あるべき国際社会」を語り、その実現に向けて指導力を発揮することを期待している人々は国内外を探しても見当たらないし、経済的成功のための「日モデル」や、世界平和の実現ための「日ヴィジョン」を日政府が提示するだろうと思っている人もいない。これだけの「国力」がありながら誰も日にリーダーシップを求めていない。そのことに、われわれはもっと驚くべきだと思う。 どうして国際社会は日にリーダーシップを求めないのか? それは日人が「

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    spark7 2020/08/29
    政権が無理を通すのを強者のムーブとして崇めてはいたけど、それが自分に利益をもたらさないのは支持者も薄々分かってたんだろうな。/ 「私」と「国」との一体感とやらも御免だが。
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