むかしむかしあるところに、長年付き合った彼に裏切られ、婚期を逃して 自暴自棄になっている女性がいました。 彼女は辛い自分の気持ちの整理のために季節の旅に出ました。 まずは暑い夏の旅です。 真っ青な空に白い雲、空がこんなに広いのかと彼女は驚きを感じました。 海もいいけれど、こんな澄んだ空で思いきり泳いでみたくなりました。 こんな広大な空と比べて、彼の存在なんてちっぽけなものと自分を慰めました。 暑さの中で風に吹かれてちりんちりんと鳴る風鈴、その清々しさで恋に破れた 彼女のこころは涼しく洗われました。 夏の風物詩と言えば盆踊り、彼女は浴衣に着替えました。 きれいな洋服を着て汚れたこころを隠す、男女の醜い世界を経験した彼女は、 風通しのいい浴衣を着ることでこころが安らぎました。 その人らしさがでる浴衣は、彼女に、真心の大切さを改めて感じさせました。 夜には花火で鬱憤をはらしました。 失恋した彼女