岸田総理が次の総裁選への不出馬を表明し、本稿執筆時点では混沌とした総裁選への駆け引きが始まったところです。岸田政権の「成果」のひとつとして、原子力発電所の積極利用に政策転換を行ったことが挙げられています。もちろんこれをどう評価するかは、立場によって180度異なります。 筆者自身、気候変動やエネルギーについて発言していると、原発への考えを質問されることは多いです。多くの場合、そのような質問は筆者を賛成派と反対派のどちらかに分類することを意図しているように感じられ、筆者は単純な回答を避けてきました。 しかし、今回は少し長めに、原発について考えていることを述べてみます。筆者個人の価値判断と限られた知識、経験に依存した意見ですが、読者が考える上での参考になればと思います。 自分と原子力とのかかわり そもそも筆者が環境やエネルギーの問題に興味を持ったきっかけは、高校生のときにチェルノブイリ原発事故が
