出生前診断と選択的人工妊娠中絶(この小説では「治療的妊娠中絶」という訳語があてられている)が出てくるイタリアの小説。この本のことをいつ何で知ったか忘れてしまったが、しばらく図書館で予約待ちしていたのがまわってきて読む。 よく書いたと思うところもあるけど、もやもやと、どうしていいかワカラン感情にもおそわれた。 ▼わたしは羊水検査はやりたくなかった。だからピエトロに、「サプライズにしておかない?以前はみんなそうしてたんだから」と言った。 しかしこのことで彼は頑固だった。わたしより宗教心のあるほかでもないピエトロが、あらゆる問いを投げあり得るすべての答えを引きだす力を、科学に認めようとした。だから仕事の場でとりわけ目立つ粘り強さで、どんな異議もはねつけた。「この件ではぼくらはふたりでやってきたんだ」と彼は言った。「最初からいつもふたりでやってきたよね。で、ぼくは知りたい。ぼくはすべてを知りたいん