政府は十一日、労働時間に関係なく成果で給与を支払う「残業代ゼロ」制度の対象を「少なくとも年収一千万円以上」で「職務の範囲が明確で、高い職業能力を持つ労働者」と決めた。今月末に閣議決定する成長戦略に明記し、二〇一五年の通常国会に関連法改正案の提出を目指す。具体的な年収、職種などは厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会で詰める。 対象が次々と拡大し、「働き過ぎ」を助長する懸念が指摘されているのに、政府の産業競争力会議などで数回議論しただけで導入を決めた姿勢に、労組や野党から「拙速だ」と批判が出そうだ。甘利明経済再生担当相や田村憲久厚労相、菅義偉(すがよしひで)官房長官らが十一日に首相官邸で協議し、合意した。 残業代ゼロ制度は四月末に産業競争力会議民間議員の長谷川閑史(やすちか)経済同友会代表幹事(武田薬品工業社長)が提案した。一般社員も対象だったため、「労働者をさらなる長時間労働に追い込む」