YCC(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化を決定した植田和男日本銀行総裁。消費者物価上昇率が16カ月連続で目標の2%を上回る中、現在の金融政策は適切なのか。金融政策の対象は賃金ではなく物価であると吉川洋・東京大学名誉教授は語る。就任以降の植田和男・日本銀行総裁のかじ取りの評価を黒田東彦前総裁の異次元緩和の功罪とともに吉川氏に聞いた。(構成/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋) 黒田日銀の異次元緩和に功なし 植田総裁は金融政策の正常化を ――黒田東彦前日銀総裁の10年間の異次元緩和の功罪について、どのようにお考えですか。 功に当たる部分は見つかりません。 金融政策を含め政策を決定する前に、日本経済が抱えている問題に対する判断、病気に例えれば診断、治療方針が必要です。診断の出発点はやはりバブル崩壊です。それから約30年間、日本経済は低迷しています。 最初の10年は、不良債権という重荷がの

