CSSは普通、セレクタの記述から始まる。目の前にあるHTML片に対してどのようなスタイリングを施すかという前に、いかにしてそのHTML片を選択するかという意識が先に来る。あらかじめ完成したHTML文書へ向けてスタイルを適用していくのであればそれでうまくやれるのかもしれない。だが広く行われているウェブデザインの制作では、まずゴールとして定められた描画結果だけがあり、そこから逆算してHTMLとCSSを書き進めていく。つまり個別の結果だけがある状態で実装に取り掛かることになる。実装のために必要な構造化はたいてい後手に回る。 それでもCSSがセレクタから始まることは変わらない。実装を進めるためにはまずセレクタを書かなければならない。セレクタは規則の根幹である。バグを減らし、開発を効率的にするためには、あらゆるスタイリングの意図をセレクタに反映させるのが基本だ。しかし最初から正確にその意図を把握でき