いまでは仕事や生活に欠かせなくなった日本語ワープロ・ソフト。日本語でキーワードを指定すると,その言葉を使っているWebサイトを見つけてくる検索サービス。また,パソコンを購入すると簡単な翻訳ソフトが付いてくることも多く,それを使うと英文サイトの内容をある程度意味の通じる日本語に翻訳してくれる。コンピュータが日本語を扱う場面は,いまではごくありふれた風景になった。 このように,人間が使う言葉をコンピュータに処理させようとする分野を,自然言語処理と呼ぶ。自然言語とは,コンピュータのプログラミング言語のような記述形式の定まったものと区別して,人間が普通に用いる言語を指すときに使う表現である。およそ言葉で表せるデータの存在するところ,すべてその応用範囲である。 自然言語処理研究の歴史は長く,コンピュータの登場とともに始まったと言ってもいいだろう(表1[拡大表示])。この種の知的なシステムは期待と失望