12年前に、フェドカップでシュテフィ・グラフ(当時世界1位)を破った3時間24分の“有明の奇跡”、そしてウィンブルドン準決勝でのグラフとの二日越しの大熱戦など、テニスファンのみならず、日本中のスポーツファンを熱狂させた伊達公子が、衝撃的な「復帰宣言」をしてから、およそ3週間後――。 「本当にやれるのか?」「どの程度、本気なのか?」「復帰の真意は何なのか?」というファンや関係者たちのさまざまな憶測や期待、不安が交錯する中、カンガルーカップの初日(4月27日)、クルム伊達公子は、長良川テニスプラザ(岐阜)のセンターコートに姿を現した。 初日から、ちょうど一週間後の5月4日の決勝戦。伊達は、まだセンターコートに立っていた。大会へのエントリーがあまりに急だったためと、伊達のコーチにして日本強化本部部長である小浦武志氏の進言もあり、シングルスは予選から出場した本大会。そこで伊達は3勝して本選に駒を