syrup16g、アルバム『Hurt』リリースツアー「再発」。2公演目、東京国際フォーラムホールA。5000人の観客の前に現れた五十嵐隆(Vo・G)、中畑大樹(Dr)、キタダマキ(B)の3人は、間違いなくあのsyrup16gだった。そして、ツアータイトルの『再発』の含意が、ここから彼らが続いていくための「再出発」だということを信じていいよと、確かに告げてくれた――。 開演時間の19時を過ぎて、3人の登場を待つ満員の場内は、なんだかガヤガヤしていた。ステージのスクリーンには磁石のモノリスと砂鉄が写った『Hurt』のジャケット写真が投影され、BGMにはU2が流れ続けている。去年5月のNHKホール、五十嵐隆名義のワンマンライヴ「生還」の時はこうではなかった。もっと悲痛な何かを待ち受ける覚悟に満ちた静寂が、ただ客席を覆っていた――でも今回は違う。数日前の名古屋公演が素晴らしかったという情報も当然あ