廣瀬陽子教授(撮影/写真部・戸嶋日菜乃) 今年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻。旧ソ連地域の研究に取り組んできた慶應義塾大学総合政策学部教授の廣瀬陽子さんは、湘南藤沢キャンパス(SFC)HPに掲載したコラム「おかしら日記」で、「紛争勃発前夜まで、私は『侵攻はない』と自信を持って主張していたのだ」とその衝撃を吐露している。世界中の研究者の多くが「侵攻はない」と見ていたにもかかわらず、なぜロシアはその一線を越えてしまったのか? 廣瀬教授に聞く。 * * * ――廣瀬先生はじめ多くの研究者が「ロシアのウクライナ侵攻はない」と考えていた。なぜなのですか? 私が知っている「ロシアのやり方」ではなかった。ひとことで言えば、それが理由です。 1991年のソ連崩壊後、旧ソ連圏では数々の民族問題、それに起因する分離独立紛争が発生しました。プーチン大統領がその第二次紛争で頭角を現すことになったチェ
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