ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (36)

  • ピンカーのハーバード講義「合理性」 その3 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ピンカーの講義,第5回はベイズ推論,第6回は統計的意思決定(その中でネイマン-ピアソン型の統計検定を取り上げている)を扱う. 第5回 「ベイズ推論(Bayesian reasoning)」 harvard.hosted.panopto.com ベイズ推論とは何か,なぜ難しいのか,なぜ重要か,どうすればヒトは良いベイズ推論ができるのかをあつかう. 講義前の音楽はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの「Green River」(この音楽とベイズの関連は難しい.クリーデンス Creedence が,ベイズ流の主観的確率を表す「確信度: degree of credence 」の credence に似た綴りだということか) 最初はベイズの定理の通常の形とオッズ比を使った形を説明.例題には稀な病気の診断問題(ベースレートが低い病気についての偽陽性率があるテストでの陽性結果の解釈)という(この

    ピンカーのハーバード講義「合理性」 その3 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ssuguru
    ssuguru 2023/06/30
    ここまですこぶる面白くて、本にまとまってないかなと調べたらそれが「人はどこまで合理的か」だと分かった
  • 書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    広がる! 進化心理学 朝倉書店Amazon 進化心理学は基的にヒトの行動や心理を進化的な視点から理解しようとする試みであり,極めて学際的な営みになる.書はそのような進化心理学の周辺分野の専門家たち(その多くは同時に進化心理学者でもある)による進化心理学が周辺分野に与えてきた影響,あるいはその親和性を解説する一冊になる.編者は小田亮と大坪庸介. 冒頭の「まえがき」は「なぜ書店の『心理学』の棚には『進化心理学』というコーナーがないのか」という面白い掴みから始まっている.基的に新しい分野でまだ認知度がなく,そういう書名のが少ないからだと思われるが,ここでは,進化心理学は他の○○心理学と異なり,○○にあたる内容を研究するのではなく,進化はその視座を表しているからだと説明されている.つまり進化心理学は認知科学,社会心理学,発達心理学のような内容による区分に横串を通すような分野であり,そのよう

    書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ssuguru
    ssuguru 2023/06/19
    全般的に面白い中、教え魔の一因に進化的欲求があるかもしれないことに意表を突かれた。
  • 書評 「なぜ今、仏教なのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    なぜ今、仏教なのか 瞑想・マインドフルネス・悟りの科学 (早川書房) 作者: ロバートライト出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/07/31メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 書はサイエンスライターのロバート・ライトによる西洋仏教(そのうちの上部座仏教の流れをくむヴィッパッサーという瞑想流派)のマインドフル瞑想の解説及び体験談を一冊のにしたものだ. ライトは1994年に「モラル・アニマル」を出して当時勃興したばかりの進化心理学を(おそらく世界で初めて)一般向けに紹介したことで知られる.ライトはその後「ノン・ゼロ」でノンゼロサムゲームの協力解への探索を人類の歴史に絡めたを書き,さらに「宗教の進化」で各一神教の歴史を進化的視点から語ったを書いている.この2冊はいずれも最後はぐずぐずの宗教擁護の議論が置かれた怪しいものになってしまっているが,途中までは大変面白

    書評 「なぜ今、仏教なのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ssuguru
    ssuguru 2023/06/12
  • ピンカーのハーバード講義「合理性」 その2 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    スティーヴン・ピンカーの合理性講義.イントロダクションが終わって第3回からは合理性の記述モデルになる. 第3回「論理と論理的思考」 harvard.hosted.panopto.com ここから6回にわたって合理性の規範的な記述が扱われる.今回は「演繹的推論」.講義開始前の音楽はアレサ・フランクリンの「Think」 合理性の規範的なモデルには3つあり,演繹的推論,帰納的推論,実践的推論になる. 演繹的推論の例は3段論法だ,「ソクラテスは人間だ.すべての人間はいつか死ぬ.だからソクラテスはいつか死ぬ.」これは一般から特殊へ,確実,真偽の2値という特徴がある. 帰納的推論は「ソクラテスとプラトンとアリストテレスは人間だ.ソクラテスはいつか死ぬ.プラトンもいつか死ぬ.アリストテレスもいつか死ぬ.だから人間は皆いつか死ぬだろう」というものだ.特殊から一般へ,確率的,信頼度が連続的という特徴がある.

    ピンカーのハーバード講義「合理性」 その2 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    ssuguru 2023/06/09
    ホットハンドは錯覚だとされたが、その研究結果自体がポストホック錯覚により誤っており、現在ではホットハンドは存在するとされていると
  • 書評 「哺乳類前史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    哺乳類前史: 起源と進化をめぐる語られざる物語 作者:エルサ・パンチローリ青土社Amazon 書は古生物学者エルサ・パンチローリによる哺乳類の祖先たちを語るだ.哺乳類については恐竜絶滅後の大放散の物語が有名だが,それ以前の古生代,中生代の祖先たち(単弓類,盤竜類,獣弓類,キノドン類)の歴史は同時代の恐竜の物語に比べて一般的にはそれほど知られていない.彼等は時に様々なニッチに進出して栄え,時に衰退する歴史を刻んでいる.著者は発掘物語などを横軸に絡めながらこの大いなる歴史を語ってくれている.原題は「Beasts Before Us: The Untold Story of Mammal Origins and Evolution」. 序章 序章では,化石が過去の進化のパターンや絶滅した動物の様々な特徴を教えてくれること,古生物学がビッグデータ解析とCTスキャンにより大きく変容していることが

    書評 「哺乳類前史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ssuguru
    ssuguru 2023/02/25
    哺乳類は爬虫類から進化したのではないとツイッターで聞いてから関心を持っていたところなので読む。タイトルからのイメージより幅広い年代を扱ってる。
  • 書評 「誰もが嘘をついている」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    誰もが嘘をついている?ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい性? 作者: セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ出版社/メーカー: 光文社発売日: 2018/04/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 書はGoogleのデータサイエンティスト*1であったセス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツによる,ビッグデータと統計分析から何か見えてくるかを,その分析の勘所や豊富な実例と共に解説してくれるになる.最近の技術やデータセットによりこれまでわからなかったことが急速に可視化される最先端の興奮をたっぷり味わえる面白いに仕上がっている. 最初にスティーヴン・ピンカーが書の中身をよく示す素晴らしい序文を書いている.ヒトの思考を調べるのは難しい.そもそも思考は複層的で複雑に絡み合った対象であり,モノローグを解析するには数量化するほかないが,それではその複雑さが失われる.またヒトは

    書評 「誰もが嘘をついている」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ssuguru
    ssuguru 2019/09/09
    めっちゃ面白そう。「性欲の科学」がPornhubを使ったようにGoogle等のビッグデータを使って多方面の相関を探る。検索エンジンは答えを知ることをインセンティブとしたデジタル自白剤。「ヤバい経済学」の現代強化版
  • 「The World Until Yesterday」 エピローグ  - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The World Until Yesterday: What Can We Learn from Traditional Societies? 作者: Jared Diamond出版社/メーカー: Allen Lane発売日: 2012/12/31メディア: ハードカバー クリック: 51回この商品を含むブログ (27件) を見る ダイアモンドは最後にエピローグと称してまとめの章をおいている. エピローグ 最初はニューギニアのポートモレスビーからロサンゼルスの自宅への戻り旅にかかる自らの内的印象が語られる.フライト中はフィールドノートの整理をしているので心はニューギニアのままだが,ロス空港のバゲージクレームからメンタルの移行が生じ始めるのだそうだ.自宅は家族と会える喜びと慣れた世界への安心感が圧倒的だが,ニューギニアのビビッドカラーに比べ風景は白黒でくすんでいる.アメリカでの生活は時間の

    「The World Until Yesterday」 エピローグ  - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    ssuguru 2017/12/07
    ジャレド・ダイアモンド「昨日までの世界」エピローグにある現代社会のアドバンテージ、伝統社会のアドバンテージ、伝統社会から学べること。
  •  「だれもが偽善者になる本当の理由」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    だれもが偽善者になる当の理由 作者: ロバートクルツバン,Robert Kurzban,高橋洋出版社/メーカー: 柏書房発売日: 2014/09/01メディア: 単行この商品を含むブログ (5件) を見る 以前私がレビューした進化心理学者ロバート・クルツバン(Robert Kurzban*1)による「Why Everyone (Else) Is a Hypocrite」が邦訳出版された. 副題は特に付されていないが,柏書房の書籍情報では「なぜ,その"都合の良さ"に自分で気が付かないのか」とキャッチコピーが付けられていて,なかなか書の衝撃的な内容をうまく捉えているように思う.装丁は一般向けのライトな心理学のによくあるやや軽いタッチのものになっているが,表紙にも帯にも「進化心理学」や「進化」については触れていない.これでは書の議論の基盤の堅確さ,内容の革新性は伝わりにくいのではないか

     「だれもが偽善者になる本当の理由」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ssuguru
    ssuguru 2016/12/02
    こちらは邦訳成ってた。嬉しやありがたや。Kindle版があればさらに嬉しかった
  •  「Spent」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Spent: Sex, Evolution, and Consumer Behavior 作者: Geoffrey Miller出版社/メーカー: Viking Adult発売日: 2009/05/14メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 183回この商品を含むブログ (50件) を見る 書はヒトにおける性淘汰についてリサーチを続けている進化心理学者ジェフリー・ミラーによるヒトの消費行動,特に誇示的消費とされる部分にかかるである. 普段私達は様々な買い物を楽しんでいるが,それは進化的にはどう説明されるべきものだろうか.考えてみると,高価な買い物が直接に生存価や繁殖価を上げるわけではなさそうだ.ミラーによると,その説明の1つは「私達が潜在的配偶相手や潜在的友人や同じグループの属する人々に対して,自分がいかに配偶相手としてふさわしいか,あるいはいかに互恵的なやりとりの相手として

     「Spent」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ssuguru
    ssuguru 2016/12/02
    とっくに邦訳されてたりしないかなーと思ったけど、しなかった。翻訳お祈りブクマ。
  •  「オタクの行動経済学者,スポーツの裏側を読み解く」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く 作者: トビアス・J・モスコウィッツ,L・ジョン・ワーサイム,望月衛出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2012/06/08メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 137回この商品を含むブログ (13件) を見る 書は実証研究を行っている行動経済学者とスポーツジャーナリストが,行動経済学の知見を利用してアメリカのメジャースポーツの一見理解できない状況の謎解きを行い,それを実証してみようという趣向のだ.原題は「Scorecasting: The Hidden Influences behind How Sports Are Played and Games Are Won」. そういうわけで特に目新しい行動経済学的な知見が展開されているわけではない.書の面白さは,その「行動経済学のよくある知見を用いたいかにもあ

     「オタクの行動経済学者,スポーツの裏側を読み解く」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ssuguru
    ssuguru 2016/04/21
    ホームチームの有利は「大半は審判のジャッジの偏向による.これは社会心理学の同調傾向で説明できる」
  •  「セックスと恋愛の経済学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    セックスと恋愛経済学―超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業 作者:マリナ・アドシェイド東洋経済新報社Amazon 書は経済学者マリナ・アドシェイドがセックスと恋愛に絡むミクロ経済学的分析をかなり赤裸々に講義してくれるもので,進化心理学的には説明すべき現象としていろいろと興味深いものだ.原題は「Dollars and Sex: How Economics Influences Sex and Love」. 書では基的に様々な経済的な環境がヒトの恋愛,セックス,結婚離婚の意思決定にどう影響を与えるかが分析されている.その選好や動機はすでにある事実として前提になっていてそこを説明しようとするものではない.(もっともアドシェイドは一部進化的にこれを説明しようと試みているが,その部分はかなりスロッピーで残念な議論*1になってしまっている.) 全体の構成としては,若いときから子

     「セックスと恋愛の経済学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    ssuguru 2015/07/25
    日本の婚姻率の変化にも参考になりそう。
  •  「The Folly of Fools」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Folly of Fools: The Logic of Deceit and Self-Deception in Human Life 作者: Robert Trivers出版社/メーカー: Basic Books発売日: 2011/10/25メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 61回この商品を含むブログを見る 書は互恵的利他行為,親の投資,コンフリクトなどの数々の啓発的な進化理論を主導したことで知られる進化生物学者ロバート・トリヴァースによる自己欺瞞についてのだ.トリヴァースは「動物の信号が(ドーキンスのいうように)他者への操作のためだとしたら,それは相手側に嘘を見抜くような対抗進化を生じ,さらに操作側に見破られないための自己欺瞞が進化するだろう」というアイデアを最初に思いつき,それを1976年のドーキンスの「利己的な遺伝子」初版の序文で提示したことで知られて

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    ssuguru 2012/07/23
    「対称性が優秀性のディスプレーになれば,オスはより対称に見える方角からディスプレーしようとする」。勝てる戦い方をしろってことですね、トリバース先生!/宣伝(他者の操作)と自己欺瞞ってまんま原発や…
  • 「Why everyone (else) is a hypocrite」 第8章 その3  - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Why Everyone (Else) Is a Hypocrite: Evolution and the Modular Mind 作者: Robert Kurzban出版社/メーカー: Princeton Univ Pr発売日: 2011/01/03メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 174回この商品を含むブログ (25件) を見る 第8章 自己コントロール(承前) 長期利益と短期利益の相克,あるいは双曲割引問題に関して,クツバンは単に長短2つの割引率が異なっているだけでなく,数多くの異なるモジュールはそれぞれ(それに適した)異なる割引率を持つのだと説明し,さらにこれまでの様々な解釈を批判的に取り上げる. <マシュマロ我慢の重要性> 「自己コントロール」という概念は結局誰が誰を制御するのかを考えると「中の人」的なおかしさがある.しかし長期的な目的のために短期的に我慢するこ

    「Why everyone (else) is a hypocrite」 第8章 その3  - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    ssuguru 2011/07/13
    「認知資源は有限」という話に対する反論がある。
  •  「海賊の経済学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    海賊の経済学 ―見えざるフックの秘密 作者: ピーター・T・リーソン,山形浩生出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2011/03/22メディア: 単行購入: 15人 クリック: 676回この商品を含むブログ (19件) を見る 書は海賊オタク経済学者の書いた海賊の.邦題は「経済学」となっているが,むしろ制度設計論まわりの話題の方が多くなっている.なお原題は「The Invisible Hook」(見えざるフック)というおしゃれなものだ*1.ここで取り扱われる海賊は18世紀にカリブ海でごく短期的*2に栄えた海賊たちが主体だ.日ではあまりおなじみではないが,ピーター・パンに出てくるフック船長や,ディズニーのアトラクション「カリブの海賊」,同じ名前のディズニー映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」あたりに出てくる,荒くれ者の海賊たちのことだ.これは英米では結構な人気イメージらし

     「海賊の経済学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    ssuguru 2011/05/12
    できる組織は海賊に学べ!現代の海賊の本だと思ってたらカリブの海賊だった。
  •  「遺伝子医療革命」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    遺伝子医療革命 ゲノム科学がわたしたちを変える 作者: フランシス・S・コリンズ,矢野真千子出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2011/01/21メディア: 単行購入: 3人 クリック: 60回この商品を含むブログ (12件) を見る 書は分子遺伝学者フランシス・コリンズによる遺伝子医療の最新知見・動向を一般読者向けにわかりやすく紹介した啓蒙書である.原題は「The Language of Life: DNA and the Revolution in Personalized Medicine」.コリンズはヒトゲノム計画の代表を務めたこともあるこの分野の大立て者の1人であり,このような内容のの著者としては最もふさわしい人の1人だろう.なおコリンズは前著「The Language of God: A Scientist Presents Evidence for Belief」

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    ssuguru
    ssuguru 2011/03/05
    「この方向が進めば,癌の分類はこれまでのような臓器別部位別ではなく分子的なものにあり,それに合わせたパーソナル対応の治療が可能になるだろう」。その発想はなかった。
  •  「数覚とは何か?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    数覚とは何か?―心が数を創り、操る仕組み 作者: スタニスラスドゥアンヌ,Stanislas Dehaene,長谷川眞理子,小林哲生出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/07/01メディア: 単行購入: 5人 クリック: 144回この商品を含むブログ (31件) を見る 書は認知心理学者スタニスラス・ドゥアンヌによる数量の認知や計算,そして数学に関する脳の仕組みにかかるだ.ドゥアンヌはフランスの研究者で数学から認知心理学に転向したという経歴を持つ.原題は「The Number Sense: How the Mind Creates Mathematics」,出版は1997年とやや古い.もっとも訳者の長谷川眞理子先生のあとがきによると,現在でもこの主題についてはわかりやすいまとめとして有用なだということだ. ドゥアンヌは,まず動物とヒトに共通の「数を量的に把握できる能力」が

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    ssuguru 2010/09/14
    「進化環境の様々な問題を解決するための適応が働くと,脳はどのような形でその解決方式を実装するのか」
  •  「進化論の時代」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化論の時代――ウォーレス=ダーウィン往復書簡 作者: 新昭夫出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2010/04/10メディア: 単行 クリック: 19回この商品を含むブログ (7件) を見る 書はダーウィンとウォーレス*1の往復書簡集である.ウォーレスはダーウィンと独立に自然淘汰学説に到達し,その論文をダーウィンに送ったことが,リンネ協会におけるダーウィンとウォーレスの自然淘汰学説の共同発表につながり,さらにダーウィンによる「種の起源」の執筆のきっかけになったことで知られる.ウォーレスはダーウィンを深く尊敬し,自然淘汰説はダーウィンの業績だと主張し,最後まで自分の業績とはしなかった.2人の間には文通を含め様々な交流があり,意見の相違もあったが,いかにもヴィクトリア朝らしい礼儀正しい関係であったようだ. 書では,この2人の間で交わされた書簡のうち現在入手可能なものが新昭夫によ

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    ssuguru 2010/06/19
    関連書籍にダーウィン関連がまとまってる。
  •  「利他行動を支えるしくみ」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    利他行動を支えるしくみ―「情けは人のためならず」はいかにして成り立つか 作者: 真島理恵出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2010/02/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 89回この商品を含むブログ (6件) を見る 書は山岸門下の社会心理学者真島理恵による,間接互恵的利他性の成立に関するである.体裁は一般書だが,非常にナローなエリアに掘り下げた内容であり,かなり特殊な専門書といってよいだろう.*1 書の内容に触れる前に,ヒトの利他行動を進化生物学的視点から見た説明を整理しておこう.(なお書でもそれまでの学説の流れが社会心理学サイドから見た視点で整理されている) 進化生物学的には利他行動は当該個体にとって不利に見えるので特別な説明が必要になる.このような説明には,ハミルトンによる血縁淘汰・包括適応度的な説明,トリヴァースによる互恵行動的説明がスタンダードなも

     「利他行動を支えるしくみ」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    ssuguru 2010/06/05
    サイコパス、お人好しというのも遺伝的観点から見れば戦略なんだな。
  • 「Spent」第7章 誇示的無駄遣い,精密性,名声 その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Spent: Sex, Evolution, and Consumer Behavior 作者: Geoffrey Miller出版社/メーカー: Viking Adult発売日: 2009/05/14メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 183回この商品を含むブログ (50件) を見る 前章で消費者の見せびらかしには信号理論が当てはまることを示したミラーは,章で信号理論が主張する「コストと信頼性」の問題についてもう少し詳しく見ていく. ミラーはまずこう問いかける.「信号理論は人生をロマンティックコメディから,スパイスリラーとSFの混合物に変えてしまう.しかし人生はスリラーでなければいけないのか,当に信頼性を持つ信号にはコストが必要なのだろうか.」 ミラーによると信号理論が認められてしばらく1990年代の前半まで生物学者たちは「インデックス」ならコストをかけずに信頼できる信

    「Spent」第7章 誇示的無駄遣い,精密性,名声 その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    ssuguru 2010/05/12
    あの桁違いに高額な機械式時計の市場、製造は人の進化的見せびらかしの上に成り立っていたのか!技術的精密性等に注意を引かれて他より気づきにくかった。←これこそ見せびらかし成立の要素?他も同じ目で見てみる。
  •  「せめぎ合う遺伝子:利己的な遺伝因子の生物学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    せめぎ合う遺伝子 -利己的な遺伝因子の生物学- 作者: Austin Burt,Robert Trivers,藤原晴彦,遠藤圭子出版社/メーカー: 共立出版発売日: 2010/04/06メディア: 単行購入: 3人 クリック: 146回この商品を含むブログ (6件) を見る 以前私がレビューしたの訳書が出版された. この原書「Genes in Conflict」は様々な利己的な遺伝因子についてので,ゼロ年代後半に読んだではもっともエキサイティングだったといってよい.の種類としては教科書ではなく,普通の啓蒙書だが,記述は非常にハイレベルであり,相当程度の基礎知識が要求される作りになっている.これを出版した共立出版には惜しみない賛辞を送りたい. 私の書評はhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20061127,読書ノートはhttp://d.hatena.ne

     「せめぎ合う遺伝子:利己的な遺伝因子の生物学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ssuguru
    ssuguru 2010/04/17
    「この原書「Genes in Conflict」は様々な利己的な遺伝因子についての本で,ゼロ年代後半に読んだ本ではもっともエキサイティングだったといってよい.」