力は尽くした。それでも勝てなかった。SP首位の金妍児は演技を終えると、腰を折り、両手を膝に乗せて呼吸を整えた。「できることはすべてやった」。完全燃焼と言える五輪だった。 哀愁が漂うタンゴの曲に乗って滑り切った。芸術性を評価する「プログラム構成点」は、出場選手の中で最高の74・50点。難度の高い3回転ルッツ—3回転トーループの連続ジャンプをSPに続いて成功させるなど、次々と繰り出したジャンプも確実に決めた。 大きなミスはなかったが、技術点で、優勝したソトニコワに5・85点差をつけられた。フリーでは2位となり、合計得点で逆転され、涙を流した。 前回大会で韓国にフィギュアスケートで初のメダルをもたらした。この種目で史上3人目となる五輪2連覇は果たせなかったが、昨年9月の右足の故障を乗り越え、銀メダルを獲得した。 「今は、やっと終わったという思いしかない。バンクーバー五輪から4年。力を使い果たした