2011年3月の東日本大震災で深刻な被害を受けた岩手県。徐々に復興の兆しは見せつつあるものの、いまだに震災前の状態とはほど遠い状態だ。復興に歩みを進めていくには、津波の被害を受けなかった内陸部での産業振興が重要な役割を果たす。本稿では、主に岩手県内陸部における製造業を中心とした産業事情や震災復興事業について紹介する。 3次元技術で新しいキャリア創出を 岩手県内陸部は、盛岡、花巻、北上、奥州、一関といった北上川を軸とした地域に、自動車、半導体、医療など工業系企業が集中する。一方、岩手県沿岸部の産業は漁業や食品関係が比較的多く、工業系は少ない。 「大津波が来ようとも、また海のそばに住みたいと願う人は結構いる」と話すのは、2010年12月から現在まで「いわてデジタルエンジニア育成センター」(以下、DEセンター)のセンター長を務める黒瀬左千夫氏だ。岩手県と北上市が地域産業活性化事業として取り組むD