米同時多発テロから1週間後、ニューヨークのユニオンスクエアで祈りをささげる西日本銀行員の家族たち=2001年9月 摩天楼のビルが崩れ落ちる、あの衝撃から10年。ビンラディン容疑者の殺害を、遺族たちはどう受け止めたのか。 東京都渋谷区の杉山晴美さん(45)は2日、テレビ速報を見て、締め付けられるような頭痛に襲われた。 2001年9月11日の同時多発テロで、ニューヨークの世界貿易センタービル内に勤めていた夫の杉山陽一さん(当時34)を亡くした。「テロの首謀者とされながら実態や生死すらつかめず、生身の人間として存在しているのだろうかと思ったことさえある。亡くなったことで、実在する人物が起こしたことだったんだと実感した」 事件直後は同容疑者を憎んだ。しかしそのうちに、事件の背景の根深さから「テロリストの行為は正当化できないけれど、個人は憎めない」と感じるようになった。あまりに大きな問題で、