概要 脳梗塞により脳の機能の一部が失われるが、適切なリハビリテーションを行えばある程度は回復が見込める。しかし、この回復の詳細な過程はまだ明らかではない。脳梗塞後の機能回復の過程において、直接障害を受けていない反対側の脳の働きが注目されている。これまでの本研究グループのマウスを用いた研究では、感覚野の脳梗塞後2日~1週間の間で反対側の感覚野の活性化が起こり、神経回路の再編成が起こったのち、健常な側の脳が従来両側の脳で分担していた役割を担うようになることによって、脳梗塞によって失われた機能の回復が起こることを報告している(Takatsuru et al., J. Neurosci., 2009)。今回、群馬大学大学院医学系研究科の高鶴 裕介 助教は、自然科学研究機構生理学研究所の鍋倉 淳一 教授と共同で、この脳の働きが活性化している過程においては、脳のグリア細胞(脳を構成する細胞のうち、神経