山中教授らマウス実験 様々な臓器の細胞に変化する新型万能細胞(iPS細胞)は、材料の細胞の選択によって腫瘍化のリスクを大幅に抑えられることが、京都大や慶応大のマウス実験で分かった。iPS細胞は腫瘍化の危険性があり、臨床応用の障害となっていた。10日の科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー電子版に発表する。 山中伸弥・京大教授や岡野栄之・慶大教授らは、マウスの胎児の皮膚、大人の皮膚、肝臓、胃の4細胞からiPS細胞を作製。それぞれを神経のもとになる細胞にまで変化させ、別のマウスの脳に移植した。 その結果、大人の皮膚から作った細胞を移植した55匹のうち、46匹が9週間以内に腫瘍ができて死んだのに対し、胃から作った細胞を移植した8匹は、16週間たった後も腫瘍ができなかった。胎児の皮膚や肝臓から作った細胞では、腫瘍化は3割前後だった。