05年に世界初の小惑星の岩石採取に挑んだ宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ」が2月初旬、地球帰還を目指し航行用のメーンエンジンを再起動させる。3台ある姿勢制御装置のうち2台が壊れるなど“満身創痍(そうい)”のはやぶさだが、予定より3年遅れとなる来年6月の帰還に向け、往復三十数億キロに及ぶ長旅の最後のステップに挑む。 はやぶさは03年5月に打ち上げられた。05年11月、火星と地球の間を回る小惑星イトカワに着陸し、表面の岩石採取を試みた。だが、直後に姿勢制御に使う燃料がすべて漏れるなど、いくつものトラブルに見舞われた。 JAXAは07年の予定だった帰還を3年遅らせ、太陽光のわずかな圧力を使う新しい姿勢制御法を編み出すなど、懸命の努力で帰還の道を模索した。 07年10月からはメーンエンジンの電気推進エンジンを切り、動力を使わずに飛行していた。 プロジェクトを率いる川口淳一郎JAX